オーストラリア・ニューサウスウェールズ州のオレンジへ、2泊3日でワイナリーを9軒回るワイン旅をしてきました。
旅の予習編はこちらです。
訪問したワイナリーの思い出を、振り返りながら書いていきたいと思います。
※多くのワイナリーが醸造施設や畑とは別にセラードアというティスティング施設を設けています。今回訪問したのはほとんどがセラードアです。
SWINGING BRIDGE
オレンジ駅から車で10分ほど、大自然の中に佇む小さなセラードア。カノ―ボラス山を眺めながらティスティングができます。スウィンギング・ブリッジはオレンジでワイン造りを始めてまだ5年程とのことですが、美しく整ったワインばかりでした。
ワインメーカーでオーナーでもあるトム・ウォードさんのファミリーメンバーの名を冠したワインを試飲しました。
- ミネラル感豊かでクリーンなリースリングは娘さんの「ELIZA」
- 控えめな樽香がエレガントなシャルドネはおばあさんの「PAYTEN」
- なめらかでバランスが良く高貴なピノ・ノワールはお父さんの「M.A.W」(マーク・アンドリュー・ウォード)
- スパイシーで生き生きとしたシラーズは息子さんの「William」
私はここで「M.A.W」のピノ・ノワールに一目ぼれ。キラキラ輝くルビー色、甘美で魅惑的な香りとなめらかな味わいを楽しみながら、頭の中にある買物カゴに即投入となりました。
また面白かったのが、「#シリーズ」というキャッチ―なワインをテーマにしたシリーズ。テンプラニーリョとピノ・ノワールという珍しいブレンドのワイン「Tempinot」を飲ませてもらいました。
ブルーベリージャムのような甘い香り、軽やかでジューシーなイージードリンキングスタイル。「少し冷やすと美味しいよ!」とセラードアのお姉さん。
こうして書いていて思うのです。あぁ、やっぱり買えば良かったと。一軒目だったので酔いが足りなかったのと、この先8軒の道のりを思い自制したのでしょう。「ワインは迷ったら両方買え」と、過去の自分に言いたいです。
青々と茂る美しいリースリングの畑で深呼吸をし、次のワイナリーへと出発!
SMALL ACRES CYDER
ワイナリー巡りと言いつつ、早くもサイダー(シードル)メーカーに寄り道しました。ここスモール・エーカー・サイダーは、サイダーのみを造る家族経営の生産者です。
本来は様々な種類のサイダーを生産していますが、2020年は山火事や水不足の影響で収穫量が減り生産数も少なかったそうです。コロナ前から、自然災害でも大変な時期が続いたオーストラリア。2021年はぶどうもりんごも、どうか順調に育ってほしいと願います。
テイスティングは3種のみでしが、ここではサイダーとのマリアージュなど初めての経験がたくさんできました。
最初に飲んだのは発泡していないスティル・サイダーです。りんごのジューシーさそのままを楽しめるお酒で、ほどよく甘くアルコールも軽め。
夫は「朝食に出てきても何も疑わず飲む」と言い、隣の女の子グループは「デンジャラスドリンク!」とグラスをあおる始末。一緒に出してくれたセミハード・チーズと一緒に飲むと、りんごの甘酸っぱさとチーズのまろやかさがとても良く合いました。
こちらは現在品切れ中、事前オーダー可能でクリスマス前には届くそうです。思い出したらヨダレ出てきそう。やっぱり予約してくれば良かったかな。
次に飲んだのは「The Cat's Pyjamas」という名のサイダー。良年のみの生産、瓶内二次発酵、澱抜き後に出荷されるシャンパーニュ・スタイルです。
辛口・ビター・タンニン・樽感・熟成感。「こんなサイダー飲んだことない!」というほど複雑な味わいと泡のキメ細かさに驚き、試食として出してくれたリゾットと合わせた時の味わいの変化に感動しました。
チーズやきのこ、おいもなど、ほっくりと風味豊かな秋のお料理に合わせてじっくり飲んでみたい、と思い家に連れ帰りました。
ちなみに「The Cat's Pyjamas=猫のパジャマ」は素晴らしいものを表す時、アメリカ人が使うことわざみたいな表現なんだって。
テイスティングルームの隣がすぐ作業場になっており、そこでは赤いパーカーを着てイヤホンをした男の子が椅子に座って黙々と何かをしています。聞けばオーナーの息子さんで、日曜日のこの日はお父さんのお手伝いでラベル貼りをしていたそう。
お父さんが声をかけると私たち訪問客が見ていることにやっと気づき、照れくさそうにニコニコと手を振っていました。
家族経営ってこのことだな、あの子はお小遣いもらってるのかな、などと思いながら温かなオーナーさんに素敵な体験への感謝を告げ、スモール・エーカー・サイダーをあとにしました。
NASHDALE LANE
私たちの宿泊先となるセラードア、ナッシュデール・レーンです。天井が高く開放感があり、お洒落なバーのような試飲スペース。
良い感じに酔いの回った私は、予約していた試飲コースを+10ドルでグレードアップし、真っ青な空と青々と茂るブドウの樹を眺めながらうっとりとテイスティングを始めました。
オレンジでは、たくさんの生産者が「フュメ・ブラン」という樽を効かせたスタイルでソーヴィニヨン・ブランを醸造しています。
なぜそうするかという理由は生産者によって様々で明確な答えは得られませんでしたが、他の産地とは違った手法を取り入れたい、ヨーロッパに通ずる冷涼な気候が特長的な産地なのでフランスワインの手法を意識している、などの説明をいただきました。
ここナッシュデール・レーンで初めてオレンジのフュメ・ブランスタイルを試飲。香りこそソーヴィニヨン・ブランらしくパッションフルーツのようですが、古樽で発酵したワインはまろやかさも兼ね備え、やさしい白ワインに感じました。
私たちのお気に入りはピノ・グリです。まさに梨!という感じのソフトで柔らかな甘みや丸み、みずみずしさがたまらない。
眼前に広がるピノ・グリの畑を見ながら飲むピノ・グリは格別でした。
赤ワインはあれこれ悩んだ挙げ句、その夜のBBQで飲む用に少し濃い味のピノ・ノワールをチョイス。
小脇にワインを2本抱え、ご満悦ですぐ隣の宿泊先キャビンへと向かいました。
ワイン旅はまだまだ続きます。
グランピングの様子はこちら⇩
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