ひつじさんぽ

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ニューサウスウェールズ『オレンジ』へのワイン旅 PRINTHIE / HIGHLAND HERITAGE / PHILIP SHAW【ワイナリー訪問記③】

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オーストラリア・ニューサウスウェールズ州のオレンジへ、2泊3日でワイナリーを9軒回るワイン旅。

ワイナリー訪問記三部作も最終話に入ります。

 

第一話、第二話はこちらです。

hitsuji-cozy.hatenablog.com

hitsuji-cozy.hatenablog.com 

ランチタイムを逃し、車でスナックをつまみながらワイナリーを回っていた2日目の夕方、素晴らしいスパークリングワインに辿り着くことができました。

 

 

PRINTHIE

printhiewines.com.au

 

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オレンジ旅行計画当初から、必ず訪れたいと私たちの中でかなり優先順位が高かったワイナリー。多種類のスパークリングワインを造るプリンシーです。

私の乏しい豪泡経験は、タスマニアのスパークリングは美味い!オーストラリアのプロセッコは安くてガブガブ飲めて最高!困ったときのシャンドン!くらいのものなので何とも参考にし難いですが、まだまだニッチな産地でこんなに完成された味わいが飲めるんだ…と驚きを隠せませんでした。

 

プリンシーも家族経営のワイナリーです。ひとつ前に行ったデ・サリスと同じように、1996年にご夫婦で造ったワイナリーに二人の息子さんが加わって運営をしています。

この日案内をしてくださったのは、弟のデイブさん。オレンジのワイナリーの方々はとても人当たりの良い方が多く、このデイブさんも一人でセラードアを切り盛りしていそがしそうなのにも関わらず終始丁寧で優しいのです。

オレンジ旅行前は日本人だから差別されたりするかな、と少し不安に思っていました。

 

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私たちはここではスパークリングワインに専念しようと、泡のみ5種類のテイスティングコースを選択。スタンダードキュヴェ、ロゼ、ブラン・ド・ノワール2016、ヴィンテージ2012、ブラン・ド・ブラン2010、とシャンパーニュの試飲会にでも来たかような豪華仕様でした。

スタンダードキュヴェとロゼは爽やかに飲めるものの、やはり今まで飲んできたオーストラリアのスパークリングワインとは全く違います。リッチな蜜っぽさ、クリスピーで香ばしい印象、ながーく続く余韻。

10年経過のブラン・ド・ブランは今もなおフレッシュさを残し、泡は柔らかでとても心地よいのです。まさかヴィンテージスパークリングが飲めるなんて、オレンジは本当に何でもあり全てがハイクオリティな産地。

 

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プリンシーのワインは、大切な人とゆっくり飲みたい、大事なあの人へのプレゼントにしたい、そんな風に思えるような丹念な味わいでした。

私たちは特に心に残ったブラン・ド・ノワールを購入。ほどよい熟成感とふくよかさがあり、「今が私好みの飲み頃!」と感じたので近いうちに開けたいと思います。

 

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HIGHLAND HERITAGE

www.highlandheritage.com.au

 

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最終日はのんびりとブドウ畑の朝を過ごした後、約束の10時に5分遅れでここハイランド・ヘリテージに着きました。綺麗に整備された公園のような園内を車で進むとセラードアに到着。

遅れてすみませんな感じで向かうのですが、入口も開いてなければ人もいないのです。入口を間違えたのかと裏に回ると鍵があいていたので「Hello!」と叫ぶこと数回。「あら早いね、どこから入ってきたの?」とお姉さんが出てきてくれました。まだ準備ができてないからとさらに待つこと数分後に試飲カウンターへ着席しました。

ここは唯一オンライン予約システムがなく、メールを送って予約をしたセラードア。他セラードアは細かに時間が決められている中どうしたらいいかと少々悩み「この日時に訪ねることは可能でしょうか?」と送った返信がたった一文、「Hi, 〇〇! See you on Tuesday at 10 am!」だったフレキシビリティ抜群なワイナリーです。

 

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ハイランド・ヘリテージの創設者は1946年にブリキ小屋で小さなワイナリーを始めたオレンジで最初のワインメーカー。現在は4代目まで受け継がれ、多種多様なワインを造っています。

ここに来たかった理由はデザートワインが充実しているワイナリーだったことです。でも実際行ってみるとデザートワインももちろんですが、辛口ワイン、特に赤ワインの奥深さとエレガントさが素晴らしかったです。

普段は専らピノ・ノワールやグルナッシュなど軽めの赤ばかりを好む私が、常に候補から一番遠いところにあるカベルネ・ソーヴィニヨン100%を選んだのがその証拠です。そして、4代目ニッキさんの名を冠したオフドライ・リースリング、極甘口のセミヨンと合わせて3本お持ち帰り。

この旅行中常にワインが体内に充満して良い気分だった私は、もう欲しいものを我慢することはなくなっていました。

 

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ここのセラードアのお姉さん、テイスティングを進めるのがとてもお上手です。飲むと必ず感想を聞かれ、好みに合わせて導いてくれます。あわよくば全部試したい私は「なんでも来い!」と思ってましたが、こうしてじっくり探るように飲んでみるのもとても勉強になりました。

ワイナリーの訪問中に「私白しか飲まないの!」とか「私これはいらない!」などと好みをはっきりしているお客さんも何度か目にし、これもありなんだなぁと純日本人の私は思ったのでした。

 

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PHILIP SHAW

www.philipshaw.com.au

 

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ワイン旅最後のワイナリーは、フィリップ・ショー。ここはオレンジ内で知名度、規模共にナンバーワンだと思います。シドニーのワインショップでもよく目にしていました。

センス良く造り込まれ、ディナーイベントやウエディングもできる大きなセラードア。すぐ隣に大きな醸造施設もあります。真っ青な空を眺めながらテラスでテイスティングを始めました。

実はここでのお目当てはヴィオニエだったのですが、残念ながら売り切れ。新ヴィンテージがリリースされたらすぐさま購入しようと目を光らせています。

 

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ここのワイン、何もかもが文句なしに美味しいです。クリーンで、美しく整っていて、ほどよく高級感があり、みんなをハッピーにするワイン。

そしてオレンジの他のワイナリーと決定的に違ったところが価格です。フィリップ・ショーは一番低価格のワインが24ドルで、他よりも5~10ドル安いのです。誰しもの心を掴むさくらんぼ系のチャーミングなピノ・ノワールもコスパ抜群の24ドルでもちろんお買い上げ。

過去8軒でたくさんのこだわりや信念を見聞きして味わいにも感動し、その価格に異議は一切ありませんが、この産地を活気づけていくのにフィリップ・ショーのようなワイナリーが大変大きな貢献をしているのだろうと思いました。

 

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テイスティング後は9軒のワイナリーを振り返り、夫と二人あれこれ意見を交わしながら広い庭園を散歩。最後はゆっくり美味しいランチをしようと市内に車を走らせました。

 

お天気にも恵まれた今回のワイン旅、行く先々で個性あふれるワインに巡り合いたくさんの人の温かさに触れ、忘れることのできない大切な思い出となりました。

オレンジのみなさん、本当にありがとうごさいました。

 

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編集後記

世界中に星の数ほどあるワイン産地を考えた時、この小さな産地の強みはなんだろうと考えました。なんか偉そうですみません。

世界の人々がオーストラリアワインに何を求めているのかは分からないけれど、オレンジでワインを造る方々はオーストラリアの他の産地にはない優しさ・軽やかさ・上品さに誇りをもっていました。

例えばフランスワインは日本でもいくらでも飲める中、フランスワインを意識したオーストラリア・オレンジのワインが日本まで届くのはまだまだ時間がかかるかもしれません。でもオレンジのワインはオーストラリアのワインラバー、特にワインに繊細さ・エレガントさを求める人を確実に癒してくれます。

たくさんの産地を巡ったわけではないけれど、私はこのオレンジという産地に潜在性や持続性を感じました。そして必ずしもこの産地が世界的に有名になることがゴールでもないような気もしつつ、もっと多くの人に知ってもらえたらと一ファンとして応援しています。

世界中にオレンジのような産地がたくさんあるのだろうと想像すると、私はまだまだワインを知らないんだな、と恐縮します。そして同時に、その分この先飲みたいもの行きたいところが無限にあって楽しみだな~なんて呑気なことも考えながら、今日も美味しくワインをいただきました。

 

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次のワイン旅はどこかな~!

 

旅の予習編はこちら⇩ 

hitsuji-cozy.hatenablog.com

 

グランピングの様子はこちら⇩   

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