南オーストラリア州のワイン産地を巡る4泊5日の旅。2日目もクレアヴァレーを楽しみました。
⇩1日目の日記はこちらです。
朝起きると外はどんより曇り空で雨もポツポツ。肌寒くて半袖の上にパーカーを羽織りました。11時から晴れの予報でしたが、あまりに重い雲だったので今日の予報は外れるかと思っていた矢先…。あっという間に真っ青な空がやってきました!
③ミッチェル・ワインズ Mitchell Wines
本日一軒目のワイナリーです。ワインのエチケットデザインでもある素敵な門を抜けて、セラードアへ向かいます。看板犬のボス君がお出迎え。人懐っこくてティスティング中ずっと足元にいました。
ここは一人10ドルで好きなだけティスティングができ、ワインを買ったらその10ドルを引いてくれるという太っ腹具合。(こういったシステムのセラードアがほとんどで、「だったらワイン買わなくちゃ!」とこの先どんどんボトルが増えていく。)
一杯目は、ライムやネクタリンの風味溢れる爽やかなリースリング。その後は、熟成&大樽仕込みのリースリングをいただきました。
2017年産、残糖12g/ℓ のオフドライスタイル。これがものすごい好みでした!発酵はステンレスで行い、その後3000リットルの大樽(フードル)で5か月間熟成させたそうです。大樽なのでそこまで樽の影響はないとは言え、トースティ―さと濃厚な柑橘の香りがなんとも言えないバランス。
そして2012年産のリースリングに続きました。「最初に飲んだ2017のオフドライよりも甘く感じるんだけど!」と言うと、セラードアのお兄さんがニヤリと説明してくれたのです。こちらは発酵段階から大樽を用いて、ボトリング前は澱と一緒に寝かせられた旨みタイプなのだそう。「残糖は7g/ℓ で最初のものより低いから、間違いなくエイジングのせいだね!」とも。
ここから私は熟成リースリングの虜になっていきます。もちろん上記2本を迷わず購入しました。まだお昼前なのに良い気分でフワフワしながら、次のセラードアへと向かいます。
④キリカヌーン Kilikanoon
ここはクレアヴァレーの小規模ワイナリーの中では比較的大きめで、シドニーのレストランでもよく見ますし、日本にも輸出されています。こぢんまりとしたかわいい建物と美しい中庭のあるセラードアでした。
4種類10ドルか8種類20ドルのティスティングコース。迷わず8種類を選び、最初はヴーヴレイで乾杯しました。んっ?ヴーヴレイ?と思って聞いてみると、フランスのワイナリーと提携してキリカヌーンラベルを造っているとのことでした。
フレッシュなリースリングから始まり赤に進もうかというところで、セラードア番人のおじちゃんがリスト外の2011年産リースリングを出してきました。「俺のお気に入りだ」と注いでもらった熟成リースリング、これまた味わいの複雑さやまろやかさに驚きました。
2011年は湿気が多く難しい天候で、最初は酸が強すぎて販売できなかったそうです。そのまましばらく我慢して、8年めにようやくリリース。「そしたら見てみろ!まさにマーマレード・オン・ザ・トーストって感じだろ?」とおじちゃん。
あまりに楽しいおじちゃんだったので、色々聞いてみました。よく議論になる「リースリングのペトロール香について」の反応は即答で「No~!!」。「あれはブドウの日焼けが原因だから、キリカヌーンでは絶対に避けてるよ!」と。
それと、おじちゃんの話で初めて知ったのですが、クレアヴァレーのブドウ栽培比率は1位がシラーズ(38%)、2位がカベルネ・ソーヴィニヨン(32%)、そして3位がリースリング(22%)なのだそうです。(%の数値、ちゃんと聞き取れてたか心配。)リースリングが一番じゃなかった!
この時点で私ほろ酔いを超えてかなり気が大きくなっちゃいまして、先ほどティスティングした2011年産リースリングに加え、96ドルのシラーズも衝動買いしちゃいました。
⑤Wines by KT
クレアヴァレーのすぐ入口の街オーバーンまで南下し、Wines by KTにお邪魔しました。ここを選んだ理由は、私と夫のイニシャルもKTだったからです。
ケリー・トンプソンさんという女性醸造家のワイナリーです。リースリングに魅せられて、1998年からクレアヴァレー在住。8年間大きなワイナリーでお仕事をしたあとWines by KTを立ち上げました。
セラードア内もおしゃれで、ワインのエチケットデザインもかわいいドット柄。ドットのエプロンをしたケリー・トンプソンさん自らワインをサーヴし説明してくださいました。
特徴的なのは、搾汁にバスケットプレスを用いていることだそうです。ブドウの種を潰さず優しく抽出できるので、雑味のないクリアな果汁を得ることができます。バスケットプレスのシラーズは、シルキーで柔らかな印象でした。
色々お話をして、たくさんワインを飲んで、3本のお気に入り(+帽子)を連れて帰って来たのですが、記憶が霞がかっており…。(大変失礼。後日ゆっくり飲みます。)
ハツラツとパワーあふれるケリーさんにお会いできて良かったです。その後インスタグラムを通じて「Thank you so much KT! Cheers KT!」とオリジナルKTからのメッセージもいただきました。ありがとうございます!
宿までの帰り道は、少し遠回りしてポリッシュヒルリバーの丘の方を通ってみることにしました。さすが、リースリングに理想的なスレート土壌(ドイツのモーゼルと一緒)であるここは、見渡す限りがブドウ畑という感じ。
でもクレアヴァレーの他の土地は一面がブドウ畑というわけではなく、ただなにもない余白も結構多いんです。「あの斜面良さそうじゃない?」なんて冗談を言いながら、高収量・大量生産を目指すわけではない小さな産地なんだと実感しました。そもそもオーストラリアの大陸の大きさからすると、日本のようにスペースの有効活用みたいな思考はないですよね。
夜ごはん:ミスター・ミック Mr. Mick
この日は夫の誕生日だったので、事前にレストランを予約しておきました。宿から徒歩20分の場所にあるセラードア、ミスター・ミック併設のレストラン。草木が生い茂った建物、ジブリに出てきそうです。
お料理はシェアスタイルで、2人で3~4皿+デザートでお腹がいっぱい。昼間はドライバーだった夫は、「やっと飲み込める!」とグラスワインを何種類も楽しみました。ウェイターさんもとても親切で素晴らしいディナータイムでした。
3日目はバロッサヴァレーに向かいます!