ひつじさんぽ

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南オーストラリア州ワイン旅6 マクラーレンベール編 ダレンバーグ・キューブ / SC パネル / シャーヴィントン・ワインズ

南オーストラリア州のワイン産地を巡る4泊5日の旅。最終日はアデレード市内から南に40分ほど車を走らせマクラーレンベールへ。飛行機の時間ギリギリまでワインを楽しみました。

 

⇩4日目の日記はこちらです。

hitsuji-cozy.hatenablog.com

 

マクラーレンベールは海に近い地中海性気候のため、同じ気候のイタリアが原産のブドウ品種も良く見られました。とはいえ、3トップはシラーズ、カベルネ・ソーヴィニヨン、グルナッシュ。黒ブドウ栽培が90%を占めており、グルナッシュに最も適した土地の一つとして知られています。どこを切り取っても美しいブドウ畑が続く、「ザ・ワイン産地!」な景色も素晴らしかったです。

 

⑪ダレンバーグ・キューブ d'Arenberg Cube

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まずはマクラーレンベールの人気スポットへ。ブドウ畑の中に巨大なルービックキューブが見えてきます。よく写真で見てたやつですが、実際近くで見るとやはり異様。ここはサルバドール・ダリのブロンズ彫刻が展示されていることでも有名です。入口にも「柔らかい時計」の大きな彫刻がありました。

当初ここではティスティングをせずに、ダリのエキシビジョンを観る予定でした。しかし入口で25ドルの入園券を購入すると、ティスティングも付いているというではありませんか。そういうことなら、いただきます。

 

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この扉がミュージアムへの入口。

 

地上階は異空間ミュージアム。ワインアロマルームや仮想発酵槽などの面白くて時々ぎょっとする作品が並んでいます。小さい子は泣くかもしれません。

 

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2階がダリの展示室です。「好きなだけ写真を撮って楽しんでください。」と通された部屋には、約25のダリのブロンズ彫刻が展示&販売されています。美術は全く詳しくないので、「なんだ~不思議だ~」と言いながら、彫刻作品と窓の外のブドウ畑を眺める自由時間。

 

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そして最上階が、マクラーレンベールを360°見渡せる素敵なティスティングルームになっています。ワイナリー「ダレンバーグ」はアデレードヒルズやマクラーレンベールに畑を持ち、多種類のワインを生産。(もらったリストを数えただけでも75種以上!)さすが人気の観光スポットで、今まで訪れたどのセラードアよりも人がたくさんいました。

 

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ワインはコスパ最高!マクラーレンベールのリースリングヴィオニエは19ドル、アデレードヒルズのソーヴィニヨン・ブランは22ドル。クオリティ抜群です。今後、普段飲みに色々選んでみたいと思いました。(もちろん高級レンジも生産してます。)

 

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ティスティングシートにあったおじさんのイラストについて、ワインをサーブしてくれたお姉さんに聞いてみました。「あの、こちらの方がこの建物を手がけ、一階のおもしろ作品を作り、ダリの作品を管理し、ブドウも造ってワインも醸造しているんですか?どれが本業ですか?」と。お姉さんの回答は「そう!彼がチェスター・オズボーン。ワイナリーの4代目でワイン造りが本業だけど、彼は今メンターという感じかな。それで芸術にも興味があって…。Yes. He is crazy.」とのこと。天才のパワーは凄い。

最後に、ビックリ仰天なお手洗いの写真をどうぞ。

 

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www.darenberg.com.au

 

エス・シー・パネル S.C.Pannell

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シドニーのワインショップで見かけてずっと気になっていたワイナリー。エチケットがこんなデザインなので、ナチュラルワイン系!?と思ってなかなか手が出ませんでした。

 

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白ワイン4種、赤ワイン4種のティスティングセットをいただきました。正しい表現とは思えませんが、「ナチュラルワインの一歩手前」と言った独特な味わいがあります。白ワインは甘みがじわりと舌に広がり、赤ワインは木の実っぽさや出汁っぽさを感じます。優しくて深くてとても好きになりました。テラス席からの景色があまりに美しくてうっとり。

 

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セラードアのお兄さんは色んなお話をしてくださいました。自然な造りしているので、目指した味を出すために果汁に何かを足すのではなく、品種のブレンドによって酸やタンニンを補うそうです。でも、ビオディナミやオーガニックという言葉はどうしてもマーケティングっぽさが出てしまうから特に使わない。品種選びに関しても、「海が近くて潮風があって、まさにシチリアと同じ気候なのだからフィアーノやネロ・ダヴォラを選ぶのがごく自然でしょ?」といった感じ。ブドウと土地を大切にしていることが伝わってきます。

 

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お昼時だったので、併設のレストラン(ポップアップレストランで、この日はアデレードヒルズのタイ料理屋さんが来ていました。)で春巻きとパパイヤサラダを注文。「絶対にこれが合うから!」とリスト外のゲヴェルツトラミネールを持ってきてくれたお兄さんの優しさ、とっても嬉しかったです。

それと会話の中で、モンテプルチアーノは「モンティー」と言うことを始めて知りました。何でも短くしちゃうオーストラリア、シャルドネは「シャディー」ですから。

 

pannell.com.au

 

⑬シャーヴィントン・ワインズ Shirvington Wines

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いよいよ最後のセラードアへ。マクラーレンベールに滞在できるのもあと一時間半というギリギリのスケジュール。ワイン旅の最後を温かな気持ちにさせてくれた、忘れられないワイナリーです。

2021年にできたばかりというピカピカのセラードア。2代目醸造家の奥さんであるカーラさんが案内をしてくださいました。3代目がワインの仕事に興味を持って引き継いでくれることになったため、思い切って新しくセラードアを建てたのだそうです。

 

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家族でシドニーからマクラーレンベールへと引っ越し、1996年にブドウ栽培を始めたのがこのワイナリーの始まり。今では生産ワインの85%のブドウを自分たちで造り、余剰分はペンフォールズなどへ販売をしています。その他に買いブドウのリースリングやフィアーノでもワインを造っていて、2022年産からは自分たちの栽培したフィアーノが使えるんだと、とても嬉しそうにお話されていました。

マクラーレンベールではフィアーノが大人気で、たくさんの生産者がフィアーノを欲しがっているのだとか。華やかさとミネラル感を兼ね備えた白ワイン。私もこの旅でフィアーノが大好きになりました。

 

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一通りのティスティングを終えると、セラードアを手伝っている3代目の娘さんがひょこっと現れました。日本が大好きな女の子で、大阪で6週間インターンシップをしていたこともあるんだとか。日本滞在時のたくさんの写真を見せながら、日本がどんなに素晴らしいか熱弁していました。「おつかれさまです、って決して英語に訳せない言葉。この後の仕事も頑張ろうね!って言う気持ちで言い合うんでしょ?なんて美しい文化なの!」と語る彼女を見て、今まで惰性で発した「お疲れ様です」の数々を反省した私。コロナが落ち着いたらまた日本に行って、観光客が知らない日本の暮らしを体験したいとのこと。好きなジャパニーズフードはカツ丼です。

 

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3代目が参加し始めたばかりの小さな家族経営ワイナリー。話の端々から自分たちの造ったブドウとワイン、家族を心から大切にしている様子が伺えて、優しい気持ちになりました。初の自社畑フィアーノも必ず飲んでみたいし、「いつか必ず造りたいの!」と言っていたGSMブレンドができる日も楽しみです。陰ながら応援しています。

 

shirvington.com

 

最後までたっぷりワインを楽しみ、少々時間に追われ気味で郵便局へ。各セラードアで買い集めた2ケース分のワインを自宅へと発送し、アデレード空港へ向かいました。

 

ワインがおうちに届いた!

発送からちょうど一週間後、無事にワインが届きました。「家に帰るまでが旅行」と言いますから、ワインたちがみんな無傷で到着してくれてようやく旅が締めくくれます。ようこそ我が家へ。

 

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リュックに入れて持って来た分も含め、全25本。南オーストラリアワインさんたちの集合写真を撮りました。

 

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「みなさん、肩と肩の間からお顔を出してください!」

 

夢のような旅でした。ワインも景色も出会った人も全てが本当に美しく、しばらく興奮が冷めそうにありません。今後ワインを飲みながら思い出話をする楽しみもあって幸せ。

そして私はこの旅でマクラーレンベールの大ファンになりました。今度はインディアン・パシフィックに乗ってマクラーレンベールに戻るのが目標です。さぁ、働くぞ!

 

<2022年6月追記>インディアンパシフィック号に乗ってマクラーレンベールに行ってきた!

hitsuji-cozy.hatenablog.com

 

最後までお読みいただきありがとうございました!