このフェスティブシーズンは普段引きこもりぎみの私にはいそがしすぎるくらいイベントごとが多く、頻繁に外出してはどこかで何かを飲む日々。
でもやっぱり心落ち着くのは、おうちでの晩酌です。予定がなかった夜、先月のワイン旅で買ってきて楽しみにしていたサイダーを飲み、ほっと一息つきました。
シードル?サイダー?どっち?
サイダー(シードル)について良く知らなかったので、ウィキペディアを基にまとめてみました。
- シードルは、リンゴ連リンゴ亜連に属する果実を発酵させて造られるアルコール飲料を意味する言葉として使われるため、ナシのシードル(ペアサイダー)なども存在する。
- 発泡・非発泡、両方ある。
- おおまかな造り方…熟したリンゴを収穫→圧搾機にかけ果汁を搾る→果汁をタンクや樽に入れる→リンゴの果皮に付いている天然の酵母の力で自然にアルコール発酵開始(現在は培養酵母を用いることも)→発酵・熟成を経てシードルが完成!(タンク内から瓶詰めまで密閉状態を保っておくと、発生する炭酸ガスがシードル内に溶け込んで発泡性のシードルとなる。)
また、様々な国で造られそれぞれに呼び名が少し違います。
- フランス…ブルターニュ地方とノルマンディー地方のシードルが特に有名。ブルターニュ地方の人が飲む場合は陶器のコップが使われたりする。
- スペイン…アストゥリア州のシードラは、頭より高い位置のビンから、腰のあたりで持ったグラスに注ぐエスカンシアという独特な注ぎ方が特徴。(チャコリと同じかな?)そしてシードラを提供するバルをシドレリーアと言うそう。(近くで見たい、飲みたい!)また、バスク地方のシードラはサガルドと呼ばれる。
- イギリス…サイダーと呼ばれ口当たりが良いものが多い。パブでビアグラスで提供されたり、330mlの小瓶で販売されている。
- ドイツ…アップフェルヴァインと呼ばれ、フランスのシードルとは区別され味も違う。
- 日本…サイダーというとイメージは三ツ矢サイダーなのでシードルの名で認識されている。ニッカが造るシードルが有名。
- スウェーデン…サイダー造りが盛んな国の一つだとか。
あれ、オーストラリアは…!?私の肌感覚からすると、オーストラリアもかなりサイダー造りが盛んなように思います。
やはりイギリスのサイダー文化に近く、ほとんどのブリュワリー(ビール生産者)が自らのブランドのサイダーを造り小瓶や缶で販売。パブやレストランにも必ずオンメニューされているので、「まだお昼だからまずはサイダーにするか!」という具合で私は飲んでいます。
味わいは軽やかでほんのり甘く、アルコール度数控えめの飲みやすいタイプ。しかし今回飲んだスモール・エーカーのサイダーは、いつものパブのサイダーとはまた別の魅力を持った独特のスタイルです。
また面白いことに、オーストラリアのサイダーにはCiderとCyderという二つの表記があることが分かりました。ブリュワリー(ビール生産者)が造っているサイダーはCiderと記されたものがほとんど。スモール・エーカー・サイダーはCyderです。
調べてみると単にアメリカ英語とイギリス英語の違いとの説明もありましたが、イギリスのサイダーメーカーのウェブサイトで2つの違いを発見。
Ciderは工業的、Cyderはエキストラバージンオリーブオイルを造るように丁寧に造られ熟成させる、というようなことが書いてありました。
(もっとずばりと書いてあるので興味のある方は見てみてください⇒Is Cyder different to Cider?)
イギリスにルーツのあるスモール・エーカー・サイダーは、丁寧な手造りであることへの誇りの「y」なのかなと勝手に解釈しました。
スモール・エーカー・サイダー キャッツ パジャマ2017を飲みました!
定価は一本35ドルなのに、現地で買ったら6ドルのティスティング代を引いてくれちゃったという有難さ。 良年のみの生産、瓶内二次発酵、澱抜き後に出荷されるまさにシャンパーニュ・スタイルのシードルです。瓶にはボトルナンバーがふられていて、レア感があります。
これを開ける日を本当に楽しみにしていたので、感動の再会を果たした気分です。
ビールくらい濃い色合いの液体には発泡がほとんど見えないのですが、口に含むときれいに溶け込んだ繊細な泡を感じます。改めて飲むと、ぐ~っと染みわたる旨みを感じ、やはり感じるビターな味わい。
スモール・エーカー・サイダーへの訪問時、少人数のティスティングルームで「このサイダーどんな感じ?」と聞かれて周りが口々に答える中で私は恐る恐る「ビ、ビター…」などと言ったら、隣のグループの女の子がうんうんと頷いて同意してくれて安心したことを思い出しました。
合わせるお料理は断然お魚よりお肉。ティスティングルームではチーズリゾットと合わせていただきましたが、この日はパルミジャーノをたっぷりかけたボロネーゼと飲んだら、それもすごく合いました。
ワインに比べるとシードルを飲んだ経験が少ないためか、色々考えるより先に、りんごを通じて大地の味をいただいているようなイメージが湧いてくる味です。りんごの果実の名残も楽しみつつ、シャキシャキとしたりんごからは想像もつかないような奥行と複雑味を感じ、たくさんの手間暇をかけられたのだろうと思い巡らせます。
また一つ、果実酒の魅力を知ることができたようで嬉しいです。
オーストラリア・ニューサウスウェールズ州のオレンジという地で、地元のりんごを使いサイダーのみを造る唯一の生産者スモール・エーカー・サイダー。のどかな風景の中に造られたアットホームなティスティングルーム、素敵な経験ができるはずなのでぜひ訪れてみてください。
良かったら訪問記も読んでください!