どこで見たのか忘れてしまったのですが、シドニーと東京を舞台にした小説があると知り、先日購入したキンドルペーパーホワイトで読んでみました。『木曜日にココアを』という短編小説集です。読み終えてしまうのがもったいないと思うくらい温かく心地よい物語でした。
木曜日にはココアを
わたしたちは、
知らないうちに
誰かを救っている――
川沿いを散歩する、卵焼きを作る、
ココアを頼む、ネイルを落とし忘れる……
小さな出来事がつながって
最期はひとりの命を救う、
心がほどける物語。
読み終わった後、あなたの心も救われる
東京とシドニーをつなぐ12色のストーリー
東京のとあるカフェから始まる物語。登場人物たちの何気ない日常のエピソードを織り交ぜながら話の舞台はシドニーへと移っていきます。一つ一つの物語が目の前に浮かびあがってくるカラフルな描写。そして良く知ったシドニーの風景の中に、私が想像する登場人物たちが動き出すような楽しさを味わいました。
12編のストーリーには少しずつ繋がりが見え、メモを取りながら読んだり、読了後に相関図を書く人もいるのだとか。そんな仕掛けを探しながら読むのも面白いし、一つ一つのお話としてもミニドラマを見ているような満足感がありました。どこまでも穏やかで、でも時々ハッと気づかされるようなお話の数々。本当に幸せな読書時間でした。
作者の青山美智子さんは大学卒業後シドニーの日系新聞社で記者として勤務し、2年間のオーストラリア生活ののち帰国。その後出版社で雑誌編集者を経て執筆活動に入られたそうです。
この『木曜日にココアを』は、私も時々読むシドニー情報誌『月刊ジャパラリア』の公式サイト上で2015年6月〜2016年5月に連載された小説で、大幅に加筆改稿し2017年8月に書籍化されました。
癒されたい時、元気が欲しい時、これから何度も読み返す私の大事な本になるだろうと思います。素敵な作品をありがとうございました。青山さんの他のお話も読んでみます。
12編の中で私のお気に入りは、ターコイズの「帰ってきた魔女」です!
⇩同じ作家さんのこちらの本にはメルボルンが出てきました♪