オーストラリアにはブドウ品種のブレンドを表すGSMという言葉があります。
G=グルナッシュ
S=シラー
M=???
夫が「マタロはGSMのMだと思う」という横で「え、GSMのMはムールヴェードルだよ!」と反論する私。結局、マタロ=ムールヴェードル、地域によって呼び方が違うだけだったというオチです。ソムリエ協会にブドウバッチ返却します。
今回はマタロ=ムールヴェードル100%、オーストラリアではめずらしい少し熟成した2015年産のワインを飲んでみました。
Yelland & Papps Second Take Mataro 2015
産地 | 南オーストラリア州 バロッサ・ヴァレー |
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品種 | マタロ |
生産年 | 2015 |
タイプ | 濃厚で力強い |
価格 | 20AUD(定価45AUD) |
美味しい!!いちごやラズベリーなど可愛らしい赤い果実、黒コショウのようなスパイスの香り。果実味はジャムのような濃厚さ。でも酸がしっかり引き締め、渋みは穏やか。
とてもキレイにまとまって味わいの奥行きを感じます。早飲みの多いオーストラリアワインで2015年という少し熟成したタイプ。まだ熟成感というほどでないけどバランスが良くて柔らかです。
ワインショップには「大人のブドウジュース」という説明書きがありましたが、まさにその通り。ジューシーだけど気品があり、甘いだけでなくスパイスの効いた大人の味わいでした。
いろんな名前を持つブドウ ムールヴェードル
スペイン原産のブドウ品種で、世界全体の80%くらいはスペインで栽培されています。
- スペインではモナストレル
- フランスではムールヴェードル
- アメリカやオーストラリアではマタロ
一般的に言われる特徴は、濃厚で渋みが強く野性的。今回飲んだワインはオーストラリア産ということもあり、野性味より果実味がしっかり出ているタイプでした。また、少しの熟成期間を経て、渋みも落ち着いたものと思われます。
ワインメーカーYelland & Pappsについて
[公式HP] Yelland & Papps - Barossa Valley
2005年、バロッサヴァレーに設立されたワイナリー。いかにも美味しいワインを造りそうな素敵なご夫婦が営んでいます。
このワイナリーのこだわりの一つが「whole bunch fermentation 全房発酵」です。ブドウは収穫後「除梗」という工程でブドウの硬(茎)の部分を取り除きます。それを行わずに房のまま、茎から出る成分も丸ごと取り入れて発酵段階に進めていくことを「全房発酵」と言います。
果皮や果肉、種子だけでなく、茎の成分も加わったワインは複雑で奥行のある味わいになると言われ、この製法を取り入れる生産者も増えています。ただ、まるごと全部使うには、ブドウがすこぶる健康でなければなりません。梗を使うことによる様々な菌などのリスクもあるため、美味しく健全なワインになるかどうかはワインメーカーの腕にかかってきます。美味しい全房発酵のワインに出会えて良かった!
2009年の “Ten Best New Wineries in Australia”を始め、たくさんの賞を取る素晴らしい生産者。一緒に働く仲間にはブドウ畑の雑草コントロールを担当する羊さんたちがいるそうで、なんともほっこりしました。
GSMのMはマタロ。もう絶対忘れません。