オーストラリアの専門学校TAFEで開校しているThe Sydney Wine AcademyにてMastering Australian Wineというコースを受講しました。オーストラリアワインがいっそう美味しくなった素晴らしい学びの時間でした。コース中に飲んだワインを振り返ってみます。
オーストラリアの美味しいワインたち
州ごとに学びを進めるにあたり、教材推奨ワインのリストが配信されました。産地×品種のおすすめが、premium / mid price / inexpensiveという価格の括りで分類されています。これを片っ端から飲んでいけば、オーストラリアワインの基本型を知ることができます。
キャンベラディストリクト・ニューサウスウェールズ州
この週は、キャンベラのシラーズ・ヴィオニエを飲みました。あまりに感動したので、近いうちにキャンベラワイン旅に出ます。
そして、ニューサウスウェールズ州と言えばハンターヴァレー。オーストラリアのワインラバーはハンターセミヨンの自宅瓶熟成を楽しみにしているそうです。「みんなセラーリング用のハンターセミヨン持ってる?」という先生の問いに大多数が頷いていたのが印象的でした。
ハンターセミヨンは、ブドウの酸度が高く糖度が低い早い時期に収穫されます。(2021年1月14日にハンターヴァレーに行った時、もう収穫が始まっていたので本当に早い。)出来上がるワインは酸味が豊かでアルコール低め。香りや味わいもニュートラルなのに、10年も瓶内熟成ができてハニーやトーストのような特徴が出てくるという不思議なワイン。
最近Thomas Winesの今年のセミヨンを飲みました。パッションフルーツのような華やかさもあり、一見すると早飲みタイプ。でもこれが10年後どうなるんだろうと想像するだけで10年間楽しく過ごせそうなので、我が家もハンターセミヨンセラーリングをしてみます。
ヴィクトリア州
全体的に温暖なオーストラリアは、cool enough to grow Pinot Noirという言葉がよく出てきます。ヴィクトリア州もこれに当てはまり、良質なピノ・ノワールやスパークリングワインが造られています。
この週はモーニントンペニンシュラのParinga Estate Peninsula Pinot Noir 2019を飲みました。レッドフルーツとローズヒップ、お花の香りが豊かなピノ・ノワール。エレガントでクラシカルで、好きです。
モーニントンペニンシュラは冷涼で、海からの湿った風の影響が強い産地です。この強風に上手く対処し温かい天候に恵まれた年には、ワールドクラスのピノ・ノワールが生まれると言われています。
そんなモーニントンペニンシュラで、オーストラリアのベストバリューピノ・ノワールとして有名なのがストニアー。これも近いうちに飲まねば!
南オーストラリア州
南オーストラリア州からは、バロッサヴァレーのオールドヴァイン・グルナッシュをチョイス。フィロキセラフリーなバロッサヴァレーには1840年代からの古樹が存在し、大切に守られています。
Barossa Old Vine Charterという分類があり、樹齢によって4つの区分に分けられています。(この分類は法的なものではないとのこと。)
- Barossa Old Vine 樹齢35年以上
- Barossa Survivor Vine 樹齢70年以上!
- Barossa Centenarian Vine 樹齢100年以上!!
- Barossa Ancestor Vine 樹齢125年以上!!!
今回飲んだCirillo The Vincent Grenacheは樹齢100年以上のグルナッシュから造られています。アルコール度数も高く、まだ若い2020年産。それなのにフルボディとは言い難く、ティスティングノートにはtobacco, leather, baking spiceなど熟成感のある単語が並ぶ不思議なワイン。先生も「オールドヴァインのグルナッシュはトリッキーなのよ」とコメントを返してくれました。
高級感を醸しだす古樹のワインですが、なんと25ドル。もっと熟成したものも飲んでみたいと思っています。
高級産地が多くある南オーストラリア州からは、プレミアムワインやヴィンテージワインを選ぶ人が多かったので、テイスティングコメントには「leather, meaty&savory」という言葉がよく出てきました。クラスメイトの一人が「すごく動物的な香りがある。これはヴィーガンには向かない。」と言っていたのを聞いて、妙に納得。ヴィーガンワインというと、醸造過程に動物由来のものを使っているかどうかに目が向けられます。香りや味わいの中にそういった特徴があるかどうかも、新しい視点だなと思いました。
またこの週は、リースリングのペトロール香は欠陥なのか?という話や、クレアヴァレーで何故かシャルドネが上手く育たない不思議など、興味深い話題も出てきました。
暖かい産地のリースリングはペトロール香が出やすく、ワインが若いうちに出てくる香りは必ずしも良いものではないという見解も。その後自分でも調べてみると、こんな記事も発見しました。個人的にはあのオイリーでまったりした感じが好きです。
クレアヴァレーでシャルドネが上手くいかないという議論については、後日マスターオブワインの見解が配信されてきました。「クレアヴァレーでもシャルドネが上手く育たないわけではない。シャルドネがオーストラリアのワインメーカーや消費者の関心を引くようになった1980年代前半、クレアヴァレーは既にセミヨンとリースリングで成功していた。だからわざわざシャルドネを植えなかった。」といったもの。
クレアヴァレーとシャルドネの相性が悪い説は、オーストラリアワイン界では結構有名なお話の様子。オーストラリアに限らず、各産地でブドウ品種が定着するようになった理由とか歴史を調べて行ったら一生研究できそうです。
西オーストラリア州
西オーストラリア州からは、グレートサザンのリースリングを選びました。上質なリースリングワインが数多くあり、リースリングファンとして見逃せない産地です。均整の取れた美しいリースリング。かすかにハニーのような後味がありました。
また後日飲んでみたのが、スワンヴァレーのホートンワインズで造られるホワイトクラシックという白ワイン。1937年からあるオーストラリア伝統のブレンドだそうで、シャルドネ、シュナン・ブラン、セミヨン、ヴェルデホ、ソーヴィニヨン・ブランの5種類が使われています。
10ドル以下で手に入るこのワインは、スーパーフルーティー。オフドライと言えてしまうくらい飲みやすいです。夫がランニングの後ボトルショップに寄り、ミネラルウォーターみたいに抱えて帰ってきました。まさにスポーツ後に飲みたいワイン。
まとめ
この講座の初回は、ワインメーカーがボトルワインをラッパ飲みする映像が2度も出てきて仰天するところから始まりました。そんなおおらかなオーストラリアワインから、古樹を大切に保護する伝統の産地、各地で新しいことを始める革新的な生産者まで、たくさんのワインに出会うことができました。講座の動画と共に先生から毎週届くワイン情報も楽しく、本当に充実した9週間でした。
オーストラリア各地のワイナリーやセラードアには、Mastering Australian Wineの卒業生がたくさんいるそうです。なので、「訪問時には必ず受講したことを伝えること!そうすればもっとたくさん学べるから!」というのも先生からの教えの一つでした。
これからもワイン生活、ワイン旅、たくさん楽しみます!
Sydney Wine Academyさん、ありがとうございました。