ひつじさんぽ

30代夫婦のシドニー暮らし × 留学・英語 × ワイン

Mastering Australian Wineをオンライン受講してみる!シドニーのTAFEでワインを学ぶ

先月シドニーのワインスクールで、ワイン資格のWSET Level2を受験しました。結果が届くまで3か月くらいかかるようなので、その間にMastering Australian Wineという9週間のオンラインコースを受講してみることにしました。

 

hitsuji-cozy.hatenablog.com

 

Mastering Australian Wineについて

このコースは、TAFE(Technical and Further Educationというオーストラリアの公立専門学校)の中にあるThe Sydney Wine Academyによって提供されています。WSETのLevel1~3はもちろん、ソムリエ育成講座、フランス・イタリア・スペインワイン講座など選べるコースは豊富。

Mastering Australian WineはWSETのコースを探している途中で見つけました。今いるオーストラリアのワインをより深く知れたらいいなと勉強を始めた次第です。受講料も240ドルでWSETに比べるとだいぶ安くていいよねぇと思ったのも束の間、ティスティング演習と称して飲みたいワインをポイポイ買っちゃうし、行きたい産地は増えちゃうし、ワインはやっぱり沼です。

 

www.sydneywineacademy.edu.au

 

学ぶ項目は以下の内容で全9回。

  • オーストラリアワインの歴史、ブドウ栽培、ワイン造り
  • 現在のオーストラリアのワイン業界のデータと将来の傾向
  • オーストラリアの地理的表示(GI)関する知識:NSW、Victoria、South Australia、Western Australia、Tasmania、Queensland

産地×品種の25個のセレクションがティスティング推奨ワインとして挙げられています。Hunter Valley Semillon、Mornington Peninsula Pinot Noir、Rutherglen Muscat、Mclaren Vale Grenache or GSMなどのクラシックワイン。セレクションの中から4つを選んでティスティングコメントを先生に送ることと、小テスト&最終テストが課題となります。

ウェブサイトには産地の基本情報と参照サイトなどがまとめられているので、それを読みながら自分のペースで学習を進めます。毎週水曜日にある2時間のオンライン授業はリアルタイムで参加もできますし、後日配信される動画を観ることもできます。

せっかくのオンラインなので世界中から受講できればと思うのですが、やはり公立校なのでビザの提出を求められました。

 

f:id:Cozy28:20210722153706j:plain

 

学習初日を迎えた水曜日

コース開始の2日前、先生から「始めにやっておくこと」の指示が書いたメールが届きました。自己紹介シートの送付とか、システム登録とか、ソフトのダウンロードとかあれこれ。ながーいメールを読みながら、まずそれに3時間ほど要しました。

当日はどんな授業なのだろうと朝からソワソワ落ち着かなくて、オンラインってもしや自己紹介とかあるのかな、バックレようかなとか思いながら、午後は予習をして過ごしました。

18:30きっかりにクラスに入ると、そこからぞろぞろと10名弱入室がありやはり自己紹介からスタート。みなさん英語がお上手で(ネイティブだから当たり前)、ガチガチに緊張してた私は勢いで終えました。

楽しみのために受講している人が多く、ロックダウンでFriday drinkingがなくなっちゃったからこのコースでWednesday drinkingすればいいかと思ってと笑うオフィス勤めのお姉さんや、奥さんがワインを飲まないから僕はこうしてここで語り合いたいんだと言う優しそうなおじさんなど、とにかくみんなワインが大好きだそうです。そして授業が始まっても、お腹空いちゃったからごめんと夕飯食べてる人、夕飯作りながらキッチンで授業受けてる人など、さすがオーストラリア。

初日の授業は、気候や土壌についての講義のあと、Chateau Chunderというオーストラリアワインの歴史についてのドキュメンタリーを観ました。Chunder=「反吐」という自虐的なネーミングのドキュメンタリーが物凄く興味深かったです。2012年公開で全編1時間弱。(字幕もなくて難しかったから集中して2回観ました。)

 


www.youtube.com

 

オーストラリアワインなんてジョークだ!」と言われていた時代から、国際的なマーケットに乗り出すまでのストーリーが描かれています。ワインメーカーや評論家、消費者たちの話を交えながら進んでいくのですが、仏ローヌのジャン・リュック・コロンボ氏との対比が面白かったです。

マーケティングが得意なオーストラリアに対し、「ワインとは料理と共にあるもの。ナイスなチキン、ナイスなポテト、そしてワインがあればマーケティングはいらない。」という氏。そしてスクリューキャップにもゴリゴリの反対を唱えるのです。しかしドキュメンタリーの最後は娘のロールさんによる「良い所は取り入れつつ…」という意見を交え、現在の豪と仏のワイン造りのお話に。オーストラリアはテロワールを大切にするフランス式のワイン造りを進め、フランスはお堅いイメージから脱却するため品種で表現することを取り入れる生産者も、と両者の哲学がクロスしたという図式で締めくくられました。

そして個人的に衝撃だったのは、カスクワイン流行の件。オーストラリアのカルチャーが変化していく過程で、1980年代にカスクワイン(グーンバック)が市民権を得るお話が描かれていました。庭によくあるクルクル回る大型洗濯干しにグーンバックを吊るし、勢いよく回して目の前に止まった人が注ぎ口からワインを飲むという遊びをしていたのだとか。そのゲームの名はグーン・オブ・フォーチュン。やってみたい気もしますし、オーストラリア人がやっているところが想像つきます。

Chateau Chunderについて色々調べていたら、ジェイミー・グッド氏(イギリスのワインエディター)がこのドキュメンタリーについて書いたブログを見つけました。素晴らしく要約されています。ネットフリックスとかで公開されないかなぁ。

 

www.wineanorak.com

 

まずは初日を終え、とっても充実しそうなオーストラリアワイン講座。やはり言語の壁はまだまだ高くそびえ立っているけれど、今しかできない貴重な学びの時間と思って楽しみたいと思います。

 

hitsuji-cozy.hatenablog.com