オーストラリア・ニューサウスウェールズ州のワイン産地「オレンジ」に小旅行に行きました。
数年前にワインの教科書で見て「ワイン産地なのにオレンジって言うのか~」と思っていた場所です。まさか訪問できるなんて当時は想像もしていなかったので大興奮。
オレンジという産地について旅の前に予習をしたことをまとめ、旅から戻った感想も追記しました。これからオレンジを旅するどなたかのお役に立てれば幸いです。
オレンジの地理・気候
ニューサウスウェールズ州中東部に位置する都市。シドニーから254kmの距離です。
電車だと4時間半と少し、車だと3時間半ほど、オレンジ空港があり空路での訪問も可。
年間の平均最高気温約18℃、平均最低気温約6℃。昼夜の寒暖差が15℃以上の日もあります。
シドニーよりも気温が3~5度ほど低く、夜はとても冷えます。11月の半ばに訪問した私たちは昼間は半袖、夜は長袖を重ね着していました。
マメ知識をひとつ。
オレンジは、茨城県牛久市と姉妹都市となっています。ここは私の生まれ故郷からとても近く、世界一大きい大仏様「牛久大仏」がある市です。
まさかの発見に突然沸いてきたとんでもない親近感。茨城が誇る牛久大仏の写真をおいていきます。
オレンジのワインについて
オレンジはオーストラリアで最も標高が高いワイン産地で、ヴィンヤードは600~1000mの高さにあります。オーストラリア国内で標高600m以上に位置するヴィンヤードは全体の1%未満だそうです。
この地理によるヨーロッパスタイルの涼しい気候が魅力の一つ。カノーボラス山の頂上からトワック渓谷の斜面まで、標高の多様性により様々な品種を生産することができます。
オレンジは1860年頃から、リンゴやサクランボの果樹園を中心に農業を行なってきました。ブドウ樹が初めて植えられたのは1920年代ですが、ワイン用のブドウが本格的に生産され始めたのは1980年代。ワインの産地としてGI(Geographic Indications)に制定されたのが1996年、初めてワイン・ショーが開催されたのが2002年です。
まだまだ新しい産地でありハンターヴァレーなどに比べると知名度も低いですが、だからこそブティックワイナリーのアットホームな雰囲気を楽しめるかな、と思っています。
オレンジで栽培されているブドウ
標高の高さと冷涼な気候を味方に、豊富なブドウ品種をうまく栽培しています。
- シラーズ(245ヘクタール)
- シャルドネ(211ヘクタール)
- カベルネ・ソーヴィニヨン(186ヘクタール)
以上の3種で総面積1142ヘクタールの半分以上を占めていて、これはオーストラリアにおけるブドウ栽培の組み合わせ、消費者の需要とマッチしているそう。メルローとソーヴィニヨン・ブランがそれぞれ120ヘクタールと少し、そしてピノ・ノワールとピノ・グリが続きます。
品種の幅がとても広いのが特徴。
以下がオレンジで栽培されているブドウ品種です。
- 低い標高にあるヴィンヤードは、シラーズ、メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨンを前面に出した伝統的な品種が多い傾向。
- カノーボラス山の斜面にある北向きの場所は、シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・グリ、リースリングに最適。
- ピノ・グリは、青々としたフレンチスタイルとしなやかなイタリアンスタイルの両方で作られ「ピノグリージョ」とラベル付けされている。
- オレンジの東(ブレイニーシャイア)は涼しく、スパークリングワイン用の優れたシャルドネとピノノワールを栽培。
- プロセッコは新入り品種ながら急速に増加中。
- ヴィオニエはオレンジの気候に適しており、シラーズとのブレンドでフランスのコート・デュ・ローヌスタイルのワインも生産されている。
- 気まぐれピノ・ノワールにもオレンジの生産者たちは上手く向き合い、ダークフルーツ系の複雑な味わいに仕上げる。
- イタリア系品種はサンジョヴェーゼ、バルベーラ、ネッビオーロ、アリアニコ、モンテプルチアーノなど何でもあり。
- スペイン料理が人気で、リオハと同じ大陸性気候のオレンジは、テンプラニーリョも当然栽培されている。
初期の開拓者たちがワイン造りを始める時に、個人的な好みで決めた場合もあれば、当時流行していたブドウを取り入れた場合もあり、試行錯誤の末にフルレンジなブドウ栽培になったというようなことも書かれていました。
一つの産地でなんでも飲める、これは面白いことになりそうです。
オレンジのワイナリー
オレンジには30ほどのワイナリーがあり、そのほとんどがティスティングや見学のために開放されています。テイスティングは一人10ドル前後。各ワイナリーのウェブサイトから予約が必要です。
ほとんどのセラードアの稼働時間は10時~16時なので、一日で回れる数は4つほどかと思います。私たちは、到着日3軒、中日4軒、最終日2軒の計9軒訪問。
ワイナリーツアーもありますが、以前ハンターヴァレーとヤラヴァレーのワイナリーツアーに参加した経験から、今回は自分の行きたいところをじっくり見学したいと思いレンタカーを手配しました。
夫作成の手書きの工程表も公開。行きたいところをピックアップした後、うまく回れるように地図とにらめっこしながら組み立ててテイスティングの予約を入れてくれました。
そしてワイナリー巡りをするにあたりおすすめが二つあります。
一つめはランチをするために市内に戻る時間を確保することです。私たちは二日目に4軒のワイナリーを訪問し、どこかでサクッとランチでもと思っていたのですが、ワイナリーの近くにカフェも見つからず市内に戻るには時間も足りず、持っていたスナックをつまむという寂しい結果になりました。
ピクニックハンパ―を用意しているワイナリーもいくつかあるので、そういったワイナリーをお昼時に組み込むのも良いかもしれません。
二つめは車を運転する人、お酒に弱い人は口に含んだワインを吐き出すための「マイ吐器」を用意することです。各ワイナリーにもありますが大きなバケツだったりするため、紙コップ等を持っていき一旦そこに吐き出すようにするとスムーズです。
ちなみに私はガブガブ飲み込みました。
オレンジへの行き方
シドニーからは、
- 車で3時間半
- 飛行機でひとっとび
- 電車で4時間半(セントラル駅発~オレンジ駅着)
の方法があります。
私たちは長距離ドライブが不安だったため電車旅を選び、こちらから事前に予約しました。
実際に乗ってみましたが、長距離列車はとても快適です。日本の特急列車のようで広々と清潔、乗務員さんも親切でした。食堂車もあり食べ物や飲み物を買う事もできます。ホットミールは乗務員さんが事前オーダーを取っていました。
現在コロナ対策で2列シートに1人ずつ席が割り当てられますが、駅員さんのチケット確認後は同グループならば隣に移動してもOKのようです。
ブルーとグリーンが続く大自然の車窓を楽しみつつ、昼寝をしたり読書をしたり、私には心地のよい4時間半でした。
オレンジ到着後は公共交通機関でのワイナリー巡りは難しいためレンタカーを借りました。しかしそもそもレンタカー店は2つしかなく、曜日によっては一時間しか開店していない日もあり、フレキシブルとは言えません。
電車の本数も少ないので車での訪問が一番だとは思います。
オレンジでの滞在
オレンジはワイナリーに滞在できる素敵な宿がたくさんあります。
その中からナッシュデールレーンというワイナリーのグランピングキャビンを予約しました。すぐ隣がブドウ畑の最高立地です。
ブドウ畑と夕日を眺めながらのんびりとバーベキュー、夜は星空観賞会、そしてワインは隣のセラードアからお好きなものを、という夢のようなステイ。
こちらのOrange360という充実したウェブサイトで、宿・レストラン探し、ワイナリー地図など様々な情報が得られます。訪問前には隈なくチェックすることをおすすめします。
私たちのワイナリー訪問記もぜひ読んでください!
最高の旅でした!ワイン好きさんには本当におすすめしたい場所です!