ひつじさんぽ

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【WSET Level2】 5週間でティスティングした14種のワイン

5月からスタートしたWSETのオンラインクラスは5週間の講座を終え、来週の模擬試験を残すのみとなりました。この5週間で飲んだ14種類のワインを振り返ってみました。

 

Week1-1 軽めの赤と甘口ワイン + 酸味、塩味、旨味、甘味の相互作用を学ぶ

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Josef Chromy PEPIK Pinot Noir, Tasmania AUS, 2019 20AUD

Margan Botrytis Semillon, Hunter Valley AUS, 2018 23AUD

 

食材の基本味がワインに与える影響を観察するティスティングです。20ドルの美味しいタスマニアピノに出会えたことも収穫のひとつ。こちらの記事に書きました。 

hitsuji-cozy.hatenablog.com

 

Week1-2 アロマティックな白ワインとリフレッシングな白ワインの比較

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Dopff Gewurztraminer, Alsace France, 2019 12AUD

Vigneti Del Sole Pinot Grigio delle Onezie, Verona Italy, 2019 23AUD

 

アロマティック品種の定番ゲヴェルツトラミネールと、イタリアの爽やかピノ・グリージョを選びました。どちらも品種の特性が存分に表れた素晴らしいワイン。

初めての提出課題だったのでWSETの用語と形式に慣れる必要がありました。Systematic Approach to Tasting WineというWSET独自の用語集を見ながらティスティングを進めていきます。ティスティング項目に過不足なく、アロマやフレーバーのキャラクターも与えられた用語の中からのみ選び、徹底的に基礎を固めるよう教えられます。

私は先に提出していたクラスメイトの記述を参考にこのようなテンプレートを作り、後の課題にも使用しました。 

Appearance

  • Medium intensity
  • Gold in color

Nose

  • Pronounced intensity
  • Aroma of rose, lychee, apricot

Palate

  • Sweetness- off-dry
  • Acidity- medium
  • Alcohol- medium
  • Body- full
  • Flavor intensity- pronounced. Flavors of rose, lychee, and a bit of jasmine
  • Finish- medium

Conclusion

  • Very good

 

こちらはゲヴェルツトラミネールのティスティングです。なんとシンプルな記述かと思いますが、これがWSETティスティングの基礎となります。

私は基本に忠実に課題を提出したところ「This is a great start to your tasting notes. Both are well done. You also pick up typical flavors of both wines. Well done.」とのフィードバック。アルコール度数の表記がずれていたり、有り得ない香りを入れるとバシバシ指摘が入ります。(リースリングの比較でchalkという単語を使い直されました。)

Conclusion=Very goodという根拠は何?と言いたくなるような結論も、数回のティスティングの後に自分の言葉を加えられるようになっていきます。

 

Week2 同ブドウ品種で樽香あり・なしの白ワイン比較

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Stonyfell unwooded Chardonnay, South Australia 2020 16AUD

Elephant in the room Jumbo Chardonnay, South Australia 2019 9AUD←375ml

 

セミヨンの樽あり・なしを比べたかったのですが近場で見つけることができず、シャルドネで比較をしました。

30種以上の豪シャルドネの前で「待てよ、絶対樽が効いてないシャルドネってどれ…?」とウロウロ。その中で「絶対に」と言い切れるunoakedやunwoodedと書かれたものはたったの2種類でした。

そのunwoodedのシャルドネがすごく美味しかったのです。みずみずしい桃とかネクタリンの果汁感があり、後味は梨のようなまろやかさが続き…。ショップのウェブサイトでこのワインの口コミを見たら「味がしない」などと書かれて酷評だったのですが、私は好きです。私の友達でもいるんですよ、こってりなオーキーシャルドネしか飲まない人。

「樽ありかなしかって探すの難しいね…」と言う私に「だったらシャブリとムルソー買おうよ!」と誘惑する夫。後に高いフランスやドイツのワインを買わなければいけないことを見越し、リーズナブルな2本を選んだシャルドネティスティングでした。

 

Week3 タンニン・酸が豊かな赤ワインとタンニンが控えめな赤ワインの比較

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Chateau Haut Madrac 2017, Haut Medoc 35AUD

Cotes du Rhone 2017 E.Guigal 25AUD

 

久しぶりのボルドーワインとローヌワイン。課題もそこそこに素晴らしい赤ワインにご機嫌だったweek3です。

オーメドックのシャトー・マドラックは、ポイヤックの5級シャトー・ランス・ムーサのセカンドワインです。という事は調べるまで知らなかったのですが、夫が「普通の棚に並んでる(=超高級ワインじゃない)ボルドーワインでよくこれ見るから飲んでみたかった」と言うので飲んでみました。日本では3,000円代後半で売っているようで、オーストラリアで買う方が少し安いです。

カベルネソーヴィニヨン52%、メルロー48%。WSETのシステマティックアプローチを無視して言うのならば、秋の木々が豊かな公園。黄色や茶色の落ち葉をワサワサ踏みしめ、時々日陰に入ると湿った土の香りがする、みたいな感じです。提出用には、black cherry, blackberry, leather, charred wood, smoke, vanilla, autumn forestといったワードを使いました。複雑さ◎、フィニッシュ◎、美味。

 

⇩「ボトムエンドにしてこの出来!」と評されるE.ギガルのコート・デュ・ローヌ

 

そしてE.ギガルのコート・デュ・ローヌ。今まで何度か飲んだワインだったけれど、何度飲んでもやっぱり美味しい!

抜栓してすぐにこのワインのティスティングを始めると、blackberry, blueberry, dried herbs, black pepper, cinnamonなど、黒いフルーツやスパイスの香りがスラスラと並びました。その後、ボルドーワインを試飲し再度コート・デュ・ローヌに戻ると、その香りが完全に「イチゴジャム」になっていました。

「どうしようどうしよう、黒いフルーツが消えた…」とブツブツ言いながらティスティングコメントの最後にありのままに注釈を付けたら、先生からのレビューがこちら。

Cotes-du-Rhône can show jammy fruit characteristic due to the warm and dry conditions. Red fruit is common as they are most often dominated by Grenache. The other varieties typical to the blend can show black fruit. You assessed the wine beautifully.

コート・デュ・ローヌは、温暖で乾燥した条件のため、ジャムのような果実の特徴を示すことがあります。 グルナッシュがほとんどを占めているので、赤い果実がよく見られます。 典型的なブレンドである他の品種は、黒い果実を示すことがあります。 ワインを見事に評価してくれましたね。(訳:DeepL)

 

私の質問なんて先生にとってみれば朝飯前ですけど、このたくさんの香りで溢れた素敵なワインを感じ取ることができて嬉しかったです。

今回のティスティングでE.ギガルのコート・デュ・ローヌを選んだクラスメイトがたくさんいて、やはり黒・赤どちらの果実も捉えている人が多かったです。そして総じて前向きな結論や感想でした。世界中で飲めてみんな幸せ、ギガルのコート・デュ・ローヌ最高です。

 

Week4 オーストラリア産辛口リースリングとドイツ産甘口リースリングの比較

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Bird in Hand Riesling 2019, Clare Valley South Australia 24AUD

Dr. Losen Bernkasteler Lay Riesling Kabinett 2019, Mosel German 35AUD

 

南オーストラリア州のクレアヴァレーやイーデンヴァレーは高品質な辛口リースリングの産地、といつだかワイン教本で習いました。そして実際オーストラリアに来てみると、質の高いリースリング大国であることを改めて感じています。デイリーな価格帯でも清らかな酸味と独特のペトロール香が感じられる美しいリースリングを楽しめます。

伝統国ドイツのリースリングと肩を並べるなんてやるなと思っている所に悲報。ドイツ在住の方が「大きなショップに行ってもオーストラリアのリースリングがどうしても見つけられません。アルザスオレゴンの辛口リースリングでも代用できますか?」と先生に相談しているのを見てしまいました。

やっぱりそうなのかとちょっとがっかりしつつも、今回飲んだクレアヴァレーのリースリングもとっても美味しかったです。複雑さはあまりないけれどバランスよく均整のとれた味わいで、飲んでいて安心感に包まれました。これを買った時ワインショップのおじさんに「Good Choice!もし気に入ったら数週間後に新しいヴィンテージ入るから戻っておいで!」と言われたので戻ります。

 

⇩バードインハンドは日本でも有名な生産者

 

そしてドイツのカビネットも素晴らしかったです。私はこの比較ティスティングで余韻の長さとは何かを学びました。

先生の教えによると、余韻を「長い」と表現する場合にはmany minutes続くのだそうです。many minutesとは何分なのか正確には分かりませんが、その続く余韻はpleasant flavorでなくてはならないと教科書にも記述がありました。タンニンやアルコール感などストラクチャーによって続くものは余韻が長いとは表現できず、flavorの要素がいかに長く続くかが大切だとのこと。私は今までタンニンの残りや強いアルコール感で余韻を判断していたかもしれないと思いました。

そして飲んだカビネットが続くわ続くわフルーツ感。ネクタリンやアプリコット、白いお花のようなフレーバーがほわんほわんと末永く続いていて、余韻の長さとはこれのことだと確信できました。心地よさが続くこと数分。

先生からのレビューは、「ドイツ最高の畑の一つから造られたワインだからそれを感じ取れたのね。その感覚を覚えておいてください。」とのこと。どこの生まれでも、やっぱり好きです、リースリング

 

Week5-1 タンク内二次発酵と瓶内二次発酵のスパークリングワイン比較

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ZONIN Prosecco 5AUD

G.H.MUMM Cordon Rouge Brut 53AUD

 

何でもない日にシャンパーニュを飲む口実ができたので、いそいそとシャンパーニュ(とプロセッコ)を買いに出かけました。一日に2本の泡を飲み干す自信がなかったので、プロセッコはミニボトル。ごめんなさい。

普段はプロセッコファンですし、たぶんシャンパンよりプロセッコの方が頻繁に飲んでるのですが、同時に飲み比べるとシャンパーニュの濃さや豊かさに圧倒されました。プロセッコがgreen apple, pearに対し、シャンパーニュapple(comported), orange, honey, toasted bread, caramel, coffee…と次々出てきます。

比較ティスティングとして、プロセッコはacceptable、シャンパーニュはoutstandingという結論になりましたが、日常ではプロセッコのようなグビグビワインも必要だと切に思います。カンカン照りの夏にゴクゴク飲みたいのはプロセッコだし、アウェイな立食パーティーでラフに緊張をほぐして酔いを与えてくれたのもプロセッコでした。なぜかプロセッコへの懺悔みたいになってしまいました。

 

Week5-2 酒精強化ワインのシェリーとポートのティスティング

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Barbadillo Fino 18AUD

Graham's LBV Port 2015 36AUD

 

シェリーやポートは普段ほとんど飲まないため自分の中に比較をするサンプルがなく、わりと難しいティスティングでした。高いアルコール度数と熟成やブレンドによる複雑さや強さを感じると同時に、はっきりとしたキャラクターがあることも分かりました。

シェリーの中に確実にsaltyな味わいを取ったのですが、先生によると「塩味というのは完全には正確ではない。」とのこと。私がsaltyという単語を使ったことも問題の一つかもしれず、そのような味わいを表す単語はtangyが使われるそうです。ただし、tangyは味わいよりもぴりっとする感覚を表します。

「フロールが生成するこの変わった味わいはアセトアルデヒドによるもので……Level3で勉強しましょう!」ということだったので、試験が終わったら再度じっくり勉強してみようと思います。

 

こうして5週間のティスティング&講座が終了しました。飲んだワインは14本(334ドル分!)、純粋に楽しさしかないオンラインコースでした。

試験まであと10日程、ワイン法など覚えるべき項目を整理して、少々の暗記学習に入りたいと思います。

 

Level3に進みたい!まずはテスト頑張ります。

 

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