成人してワインに出会ってから、結構な種類を飲んできたと思います。
でも、オーストラリアに来てから特に、未知の味わいが多すぎて途方に暮れることがよくあるんです。今回のワインもとんでもない個性派でした。
Delinquente Wine Co. "Weeping Juan" Pink Pet Nat 2020
産地 | 南オーストラリア州 リヴァーランド |
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品種 | ヴェルメンティーノ ネロ・ダヴォラ |
生産年 | 2020 |
タイプ | 華やかでフルーティーな微発泡 |
価格 | 25AUD |
ワインの香りを表現する時、様々なフルーツを用いてコメントをしますが「ブドウ」と言うことは滅多にありません。でも、このワインは「ブドウの香り」がします。正確には「ブドウ味の香り」。
微発泡のプシュっという音と共に、開けたての瓶口からファンタグレープの香りが漂ってきました。ベリー系?ブドウの味?まろやか?爽やか?なんだこれは?と次々グラスを口に運ぶうちに、あっという間に一本終了。
10.8%とアルコールが低めだったのもありますが、こんなにするりと飲み干してしまったワインは初めてかもしれません。優しい味わいなのにラベルがとてつもなくファンキーだし、ナチュラルワインなのにブドウ味みたいな人工的な香りが。(もはや自分の鼻も舌も信じられないので、今回はこの香りについて深追いするのはやめた。)
狐につままれたように空き瓶を見つめながら、「よくわかんないけどなんか美味しい不思議さ」を感じていました。
ワイナリー『デリンクエンテ』と個性的なエチケットデザインについて調べたこと
[ワイナリー公式HP] Delinquente Wine – Delinquente Wine Co
[日本正規インポーターHP] kpオーチャード|オーストラリアから厳選したおすすめワインの販売卸会社
2013年に南オーストラリア州リヴァーランドで設立されたデリンクエンテ。南イタリア原産のブドウを使用し、野生酵母で発酵させ、手を加えることは最小限に留めたワイン造りを行っています。
リヴァーランドはブドウの生育期には、とても暑く酷く乾燥します。そんな気候に適しているのが、水をあまり必要とせず干ばつにも強い南イタリアの品種です。土地に適した品種は環境的にもサステナブル。
また、アルコール度数は低くても、フレッシュで風味豊かなワインを造ることができるそうです。
ボトルの裏にはこんな一文も。
Sometimes you’ve got to go home with a bunch of grapes who’re ugly as sin.
時には、ひどく醜いブドウの束を持って家に帰らなければならないこともある。
きれいに選んで美しく造られたワインももちろん魅力的だけれど、サステナブルを考えるならば、良いも悪いもまるっとひっくるめて全部いただくワインがあってもいいんだな、と思いました。
(このワインに良くないブドウを使っている、というはっきりとした表記があったわけではありませんが。)
ワイナリー名の「デリンクエンテ」は、イタリア語で「非行」という意味。ルールを破り自分たちのやり方で進めたい、というワインメーカー達の願望を表しているそうです。
デリンクエンテのエチケットデザインは全て、彼らの友人アーティスト ジェイソン コーエン氏が手掛けています。
ワインショップの棚に並ぶ、顔じゅうタトゥーだらけの男の子・女の子たちと目が合ってしまったらなんか気になって仕方がない、そんな思惑にまんまとはまり買ってきてしまったのは私です。
デリンクエンテの6種のワインに描かれたキャラクターたちは、性別・人種・セクシュアリティ・宗教や信条を問わず多様なワルを代表するよう描かれ、抵抗や独立を表しているそうです。
社会から疎外された人々、伝統的に抑圧されてきた人々、LGBTQ+の解放と戦う人々など、厳しい環境にいる人たちををサポートし、偏見に対抗して一緒に戦うというデリンクエンテからのメッセージが込められています。
[Artist Statement] The Art of the Delinquent – Delinquente Wine Co
ワインを通じて世界に訴えるメッセージ。そんな背景に一票、いや一本投じたい!と胸が熱くなりました。
おわりに
ワインの勉強も一通りしたのに、飲んだことのない味や香りに戸惑い上手いティスティングコメントも言えなくてモヤッとすることもありました。それからこうしてブログも始めてみたけれど、世の中には半端ない知識や経験を持つ方や、天才的な文章を書ける方がいて落ち込むことも。
でもこのデリンクエンテのワインは、「ワインってそんなこと考えながら飲むもんじゃないよ!」と肩の力を抜いてくれた私の大事な一本となりました。
ブドウもワインも人間も、みんな違ってみんないいよね!
◆販売場所情報
日本にも輸出されています。
⇩正規インポーター kpオーチャードのウェブサイト
私はシドニーのThe Cannery Roseberyの中にあるThe Drink Hiveというボトルショップで買いました。
ここのボトルショップは、ナチュラルワインやノンアルコールアイテムが豊富で、ユニークなものを探したい方にはおすすめです。
このワインもThe Drink Hiveに売っていました。
また、今回のデリンクエンテも上記のダスジュースもLo-Fi Winesという卸業者が取り扱っています。どれもおしゃれで個性的、気になるワインばかりでした。
お読みいただきありがとうございます!