ひつじさんぽ

30代夫婦のシドニー暮らし × 留学・英語 × ワイン

帰国から一年半、ひっそりと更新してみる

帰国してから一年半が過ぎました。ひっそり更新してみます。

現在私は、縁もゆかりもない京都に暮らしています。京都は今、シドニーかと思うくらい街は多国籍な観光客で溢れ、至る所から英語やスペイン語が聞こえてきます。外国の方が多すぎて、観光客の皆さんは本当に日本を楽しめているのか少々心配です。

 

3年と少しの海外暮らしを経て、私は日々、美味しい漬物やちくわ、冷凍されていない納豆、種類豊富な豆腐やお味噌が簡単に手に入る喜びを感じています。逆に、シドニーのカフェにあるバカでかいクロワッサンやマフィン、あまーいタスマニアンチェリーと安くて美味しいマンゴー、チーズとワインとビールは非常に恋しい。

食って本当に大事ですよね。

 

帰国してすぐに仕事も見つかりました。海外帰りで英語ができると重宝され、英語に対するコンプレックスもなくなりました。なんか自慢みたいになってますが、海外で英語を使うのと日本で英語を使うのはハードルの高さが全然違いました。使う量はぐんと減ってしまったので、細々と学びを続けていきます。

6年も日本を離れた夫は社会復帰できるのかとだいぶ心配したのですが、あっという間に社畜に戻りました。ただ、経験値があがったおかげでだいぶ生きやすくなったようで、言いたいことをきちんと伝えながらさっぱりと仕事をしているように思います。

また、LinkedInなどを通し夫が卒業した大学院に行きたいという青年たちから何人か連絡が来て、相談に乗ってあげるようなこともしているみたいです。若者よ、聞くと見るとは大違い。ぜひ行ってみるがいいよ!

年の功もあるかもしれないけれど、二人とも自分軸が定まってだいぶ快適に暮らしています。

 

日本と海外(私たちの場合はオーストラリア)を比べると、もちろん良いことも悪いことも出てきます。オーストラリアののびのびとした空気が恋しくなったり、「だから日本は…!」と思うこともありますが、シドニーにいた時には「だからオーストラリアは…!」と声を荒げていたこともありました。

ひとつ言いたいことは、日本のネット通販や宅配業者の皆さまはもう少しゆっくり仕事して大丈夫です。翌日届かなくても良いですし、早すぎて申し訳なくなります。

ただただ今ある穏やかな環境に感謝する毎日です。吾唯足知。

 

帰国してしばらくの間、去年の今頃は…とグーグルフォトを見返すのがマイブームになりました。去年の正月はマンリービーチかぁ、去年の今頃はバロッサで一日中酔っぱらってたな、去年の今日はインディアンパシフィック号でパースに出発した日だ!というように。

そして「去年の今日は日本に帰国した日」を迎える数週間前、まさかの妊娠が発覚しました。帰国してもう一年か…と少し寂しく感じていたので、そんなことを吹っ飛ばすような大事件でした。

ブログにこそ書かなかったものの、なかなか授かれずにシドニーで病院に行ってみたりもしました。ハッキリとした原因はわからず、治療にも踏み切れないまま帰国。38歳の誕生日ですっかり諦め、DINKSを謳歌しようとイタリア旅行の計画を立てていた時でした。

人生は何が起こるか分からない。なかなかの高齢出産で産まれるまで何が起こるか分からないですが、来月の出産に向けて準備を進めているところです。

 

このブログもまだ読んでくださる方がいるようなので、そのまま残しておくことにしました。時々自分でも開いてみると大変懐かしいです。

インディアンパシフィック号の記事、読んでくださる方が多いんですよ!やっぱり人は旅をせずにはいられない♪

 

生活が落ち着いたらシドニーに遊びに行って「ここが私のアナザースカイ!」と言うのが今の楽しみです。

 

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ついに帰国!!シドニー生活の思い出を振り返る

3年3か月を過ごしたオーストラリア・シドニーからこのたび帰国しました。初めての関西での新生活をスタートさせています。

期間限定の海外生活は、不安や寂しさを抱えながらもやはりかけがえのない時間でした。この節目に過去のブログ記事と共に思い出を振り返ってみました。

 

大好きなシドニーのあおいろ

 

2016年7月 夫がシドニーへ単身留学

日本での仕事を辞めて2年半学生生活をしていた夫。この頃の生活を振り返り、「あぁ、本当に貧しかった。」とよく言っています。2019年3月に大学院を卒業し、目標としていたマスターディグリーも無事修得。離れて日本で暮らしていた私も、卒業の2か月後にシドニーに引っ越しました。

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シドニーに引っ越した日に撮った写真

 

2019年5月 私のシドニー生活スタート

友達もいないし、一年目はすごく寂しかったです。

語学学校にも通いました。

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英語ができないせいで落ちるはずのない試験にも落ちました。

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とにかく英語ができなくて泣く思いをしたり、暮らしを楽しむ余裕はあまりなかったように思います。

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そんな私も今ではジャパニーズアクセントで恥じらいもなく話しますし、意思疎通ができればそれでいいと思っています。現在の「普段の暮らしにはまあ足りてる英語力」からもう一段上達させるには、再度気合をいれた学習が必要なことも自覚しています。

 

懐かしのお散歩コース

 

2020年3月 コロナパンデミックの始まり

予定していた一時帰国がキャンセルとなり、その代わりにと計画したタスマニア旅行の前日にロックダウン開始。ここから2か月ほど、くらーい日々が続きます。私は一時解雇となり職を失いましたが、運よく夫は仕事を続けられたのでそのままシドニーに残ることにしました。

ロックダウン直前にはキャンベラに行けました。

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日本の桜的存在、ジャカランダ

 

2020年4月 はてなブログを始めてみる

職も失った外出禁止の日々の中、以前からやってみたいなと思っていたブログを始めました。恥ずかしながら当時は「ブログで稼ぐ人」に憧れていたのですが、そんなに甘くないことにすぐに気づいたのと、気ままに書くことに楽しさを感じて今では日記と化しています。

2年ほどだらだらとブログを書いていたら、偶然私のブログを見つけてくれたオーストラリア在住の女性から連絡をいただき、「発酵おつまみとオーストラリアワインの会」という会を開催するに至りました。ただの趣味ブログが素晴らしい出会いへと繋げてくれた奇跡です。

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2020年7月 エコな暮らしを始める

オーストラリア発祥の「プラスチックフリージュライ」という取り組みを初めて知り、使い捨てやゴミを減らす生活を始めました。生活用品を見直し、だんだん暮らしがシンプルに。オーストラリアは飲食店で食べきれなかったものを簡単に持ち帰れたり、容器持参の量り売りのお店が多かったり、ゴミを減らす生活がしやすいのも好きなところです。

日本の過剰な包装には改めて疑問を感じていますが、これからもできることから少しずつでも続けていきます。

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2020年11月 ニューサウスウェールズ州オレンジへのワイン旅

この頃のオーストラリアは国境閉鎖中ではあったものの、国内の感染状況もひと段落していました。州内の「オレンジ」という小さなワイン産地へショートトリップ。その後もオーストラリア国内のさまざまなワイン産地へ訪れましたが、この「オレンジ」が一番思い入れがあります。

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年明けにはハンターバレーにも行ったなぁ。

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とても恋しいワインショップ LE PONT

 

2021年4月 シドニー生活の延長を決意する

ここまでの計画では、2021年5月にビザが切れるタイミングで本帰国をすることになっていました。しかし当時日本のコロナの状況がかなり悪く、暮らしの落ち着いていたシドニーにもう少し留まろうか考え始めました。というのも夫の会社が、2年のスポンサービザを出してくれて、ビザの途中で帰国することになっても構わないという有難すぎるお話をくださったからです。

もうちょっとここで暮らしてみるか~という決断の数か月後、シドニーは106日間の第二次ロックダウンに突入したわけですから、もう何が良かったのかは分かりません。

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2021年6月 念願のウルル旅行

世界の中心ウルルを見に行くことができました。視界に入りきらないほどの壮大な景色と、写真では上手く伝わらない自然の色彩の美しさが今も脳裏に焼き付いています。

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2021年6月 シドニー2回目の長期ロックダウン

上記ウルル旅行から帰宅して数日後、デルタ株蔓延によるロックダウンがスタート。

美容室も閉まっていたので、夫の髪の毛を刈ったり、

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晩酌の時間が増えちゃってお財布に響くから安ワインを探したり、

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マジメにワインの勉強をしてみたり、

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それはそれで充実した日々でした。ロックダウンも2回目となれば、周りのみなさんも結構慣れた感じでした。

 

2022年1月 南オーストラリア州ワイン旅

2021年10月に終了したロックダウンから年末までいそがしく過ごし、年明けに夏休みを取りました。夫に車を運転させて、南オーストラリア州のワイナリーを次々訪問する気ままな旅。終始酔っぱらっていたあの夏の5日間が恋しいです。

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ワイン旅で買い集めたワインは全部飲んじゃった

 

2022年5月 あと数か月で帰国することを決断する

もう一度今後の生活について考え、ビザの期限を一年残して帰国することを決断しました。のびのびと暮らしやすいオーストラリアの良さを十分理解しつつも、この国に永住するという決心はできなかった私たち。毎日どこかで日本や家族への恋しさを感じながら暮らすことに、やはり何か違うなぁと思ってしまいます。

 

2年ぶりにクルーズシップが戻ってきた日

 

2022年6月 インディアンパシフィック号に乗ってパースへ

オーストラリア横断列車インディアンパシフィック号に乗るという夢が叶いました。感動で胸いっぱいの4日間、一生忘れません。

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パース到着後ももちろんワイン旅をしました。

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2022年8月 最後の一か月は怒涛のスケジュール

オーストラリア最高峰のシラーズ『グランジ』を飲んだ夜

帰国月には有難いことにたくさんの送別会を開いてもらいました。その中でも特に忘れられないのが、『グランジ』を飲んだ夜のことです。今年に入ってから私たち夫婦とワイン会をしてくれていた方々が、帰国前の記念にと用意してくださいました。

 

 

1990年産のグランジは、見た目のきれいさとは違いコルクがポロポロでした。当日デパートにオールドワイン用のオープナーを買いに行くも、古酒文化のあまりないオーストラリアだからなのか手に入らず…。なんとグランジさまのコルクと瓶の間にカッターの刃を滑り込ませてはがすという、無礼で手荒い方法を取りながら抜栓。

32歳のグランジさまは、香り爆発、パワフルかつ妖艶、この先そう出会えるものではないなというバケモノ感がありました。感無量です。

その前のワイン会で飲ませていただいたBIN707も最高でした。

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最後の国内旅行、タスマニア

 

世界一美味しい空気を食べにタスマニアに行きました。空気ももちろん美味しかったですが、ブルーニー島のビールとチーズ、オイスターが最高でした。行く先々のレストランも全てがハイレベルで、さすがオーストラリアの台所といった感じ。2泊3日だったのでホバート周辺だけしか行けなかったのが残念です。

 

おともだちが予約してくれた、ホバートで一番人気のレストラン

 

シドニー最後の数日は、夫の最終出勤日の翌日からタスマニアへ行き、タスマニアからシドニーへ戻った夜の空港でPCR検査をして陰性証明をゲットし、その翌日に日本行きの飛行機に乗るという弾丸日程。一つ躓けば全て組み直しなギリギリのスケジュールでした。

 

 

その他に暮らしの中で印象に残っているのは、市内にあるブリュワリーが本当に楽しかったこと。特にマンリービーチの4PINESとマリックビルのWildflowerが好きで、帰国直前にも行きました。

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それと、オペラを見に行くのも好きでした。

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ブリュワリーでだらだら過ごす午後、最高

 

私たちのシドニー生活は…

英語が出来なくて苦労したり、現地で働いてみたり、あちこち旅行したり、私のシドニー生活は35歳からスタートしたワーキングホリデーのようだったなと思います。ただただ多忙だった日本での生活を離れて過ごした贅沢なロングバケーション。心が洗われるような大自然の景色をたくさん見たり、様々な国の人たちの自由な生き方を目にして、私もこれから何がしたくて何がしたくないか、何を大切にして生きていくかを自然と考えるようになりました。そして、どこにいても心豊かに暮らすための取捨選択ができるようになってきた気がします。

 

ハーバーブリッジの90歳のお誕生日にも立ち会うことができた

 

留学からスタートした夫も現地で働いて昇進もし、文化の違いに試行錯誤しながらたくさんの経験を積みました。日本でも希望の場所で職を見つけ、既に新しい仕事をスタートさせました。自由な人なので、せっかく引っ越してきたこの地にも長くはいないだろうと覚悟はしています。

 

送別会の帰り道に酔っぱらってた友達に「飛べ!」と言われた

 

シドニーでの最後の数週間がとてもエモーショナルだったので、すぐに恋しくなってしまうかなと心配もしたのですが、35年暮らした日本はやはり居心地がよくすんなり溶け込んでいます。日本到着日に天せいろとすきやき(+日本酒)を食べた瞬間、帰国したことを後悔することはないと確信しました。

 

一年前の今日も散歩していた

 

それからこのブログはオーストラリアでの生活を綴るために始めたものなので、今後はどうしようかと考え中です。唐突ではありますが、これまで読んでくださった皆様に感謝の気持ちをお伝えします。本当にありがとうございました。

 

これにて、私のシドニーブログ『完』です!

ありがとうございました!

 

Good Food & Wine Showで見つけた20ドルの美味しいシラーズ

少し前のことになりますが、ICC Sydney(シドニー国際会議場)で行われたGood Food & Wine Showに行きました。そこで20ドルのコスパ抜群なシラーズを発見!家で飲んでもやっぱり美味しかったです。

 

 

Good Food & Wine Showについて

シドニーメルボルン、パース、ブリスベンで行われる美食家&呑んべぇ(私は後者)のための展示会。一人33ドルの入場料と試飲をするワイングラス代8ドルを支払うと、丸一日ワインが楽しめる最高の場所でした。

「フードアンドワインショー」という名前ですが、「ワイン・スピリッツアンドフードショー」とでも言った方が良さそうなほどアルコール類が豊富。ワインコーナーは、クレアヴァレー、バロッサヴァレー、マクラーレンベール、マーガレットリバーと産地ごとに分かれています。また、「オーストラリアにジンメーカーってこんなにいるの?」というほどジンのブースがたくさんあったのが驚きでした。試飲をして気に入ったものはその場で購入できます。

 

 

そしてワイン好きにはたまらないのが、リーデル社主催のワインセミナーです。生産者やテイスターのお話を聞きながら、4~5種類のワインを楽しめる講座が一日に6件も!テーマも様々でとても興味深かったです。セミナーを受講し、待ち時間は他のブースでテイスティング&お気に入りワイン探しをし、また時間になったらセミナー会場に戻る、と過ごせば入場料の33ドルなんて安いものじゃないでしょうか。

 

この回は「Women in Wine」というテーマでした

 

またこのフードショーには「Wine Lovers Ticket」なるものが存在します。この限定チケットを手にできた人は小さなテイスティンググラスではなく、大きなリーデルのグラスと黒いトートバックを肩にかけてワインラヴァーのオーラを発していました。私が見たときには既に完売だったので、当日とても羨ましかったです。

ワイングラス片手にふらふら歩く中、マクラーレンベールエリアで美味しいシラーズを見つけました。

 

Bellevue Estate Shiraz 2020

陽気なおじさんの掛け声につられて立ち寄ったブースで、シラーズを注いでもらいました。マクラーレンベールのベルビューエステート。なんとこのシラーズ一種類だけを造っているマイクロワイナリーです。

 

 

青みがかった濃いルビー色をした若いワインで、飲む前はドロッとシラーズかと思いました。ところがどっこい素晴らしいバランスタイプで、果実味くっきり、酸もあって、渋みやわらかめ、そして20ドル!という私が毎日ワインにしたい条件にぴったり。14.5%とアルコールが高いのが少し気になりますが、食中でも食後でも飽きずに楽しめます。

会場でワインを販売していたのがコーリーさんというワインメーカー兼ブドウ栽培家の方でした。畑仕事もワイン醸造も、家族(小さなお孫さん含む)に手伝ってもらいながら自分で行っているそうです。「シラーズの他に作る予定はないんですか?」と質問してみたら「No」と即答。年季の入ったバスケットプレスで丁寧にワインを造り続ける素敵なワイナリーでした。

 

www.bellevueestate.com.au

 

その後会場では、日本酒を飲んでみたり(すごく盛り上がっていて嬉しかった!)、

 

酔ってきたからノンアルコールカクテルを飲んでみたり(気になっていたノンアルコールスピリッツ、かなり本格的な味で美味しい!!)、

 

お腹が空いてパスタを食べたりしながらゆっくり楽しみました。

 

ワインが好きな方、ジンが好きな方に特におすすめのイベントです。ぜひ来年、行ってみてください!

 

 

シドニーでできた飲み友達とのワイン会!ダオサ、ペンフォールズ、トルブレック、マクギガンを飲んだ夜

シドニーで暮らして3年が過ぎ、「友達いない」が口癖だった私にも美味しいワインを嗜むお仲間ができました。飲み友達と呼ぶには失礼になりそうな先輩方で、我が家とは金銭感覚もゼロ一桁は違うであろうという上流階級の方々なのですが、どういうわけか仲良くしていただいて大変嬉しく思っています。同じメンバーで3回目となる今回は、ワインを持ち寄った後に食材の買い出しから始まりました。

 

Fourth Villageへの買い出し

ワイン会1回目と2回目は皆が持ち寄りすぎて食べ物を余らせてしまった経験から、今回はワインだけを持ち込み、その内容を見て買い出しに行こうという段取りになりました。午前11時、いつも場所を提供してくださる方のお家に集合。こちらのお宅は、ワイン会を開くたびに持ち込んだワイングラスやデキャンターでキッチンを侵食され、イベントスペース化しています。

4人で車に乗り込み、高級住宅街モスマンにあるフォース・ヴィレッジというおしゃれ食材屋さんに向かいました。ここは日本でいう成城石井やカルディをもっと大きく外国風にした感じで、ディーン&デルーカよりもごちゃっと感のあるお店。膨大な種類のチーズや生ハム、お惣菜など、ワイン飲みにはたまらないセレクトなのです。

 

いいにおい、のチーズ庫です。

 

「迷ったらカゴに入れる」という合言葉のもと、あれこれカゴに詰め込んでお会計をしたら、食品だけなのに200ドル越え!いわゆる「宅飲み前の買い出し」だったわけですが、大学生の頃はポテチと柿ピー&缶チューハイだったのに、今ではブリアサヴァランとローストビーフが買えちゃうんだから大人って最高です。(とか言ってちゃっかりごちそうになった。)

 

www.fourthvillage.com.au

 

私の持ち込みスパークリングワイン「DAOSA Blanc de Blancs 2017」を飲む

ワインは毎度ひとり一本持ち込みます。今回は、DAOSA(ダオサ)という南オーストラリア州のスパークリングワインを持ち込みました。私が大ファンである売れっ子ワインブロガーのヒマワインさんが大絶賛していたスパークリングワインで、どうしても飲んでみたかったのです。

 

⇩DAOSAについてはヒマワインさんのブログにかなり詳しい解説があります。虎ノ門で行われた南オーストラリアワインの試飲会に行かれた時のレポートで、なじみの深いワインがたくさん出てきた私的神回。

himawine.hatenablog.com

 

大好きなボランジェがオーストラリアで造るボランジェより高いスパークリングワインということもあり、ものすごい期待の中で抜栓。第一声は、「わっ!!」でした。めちゃくちゃ美味しい!!泡は柔らかく溶け込み、鼻から抜ける香りが濃くて芳しく、味わいは蜜りんごみたいな濃厚さと綺麗な酸もしっかりあって、「えっ?これオーストラリアのスパークリング?」と皆で顔を見合わせました。私は何も知らずに飲んだら「シャンパーニュ」という自信があります。

悲しいことに最初の1本は4人で飲むとものの数分でなくなってしまいます。必ずまた買って飲むと決めたほど心に残る美味しさでした。

 

オーストラリア最高峰の泡

ちょっと高級だけど美味しいから飲んでみて~!

 

カベルネのグランジ「Penfolds BIN707」をいただく

今回の目玉ワインです。私たちが帰国目前ということもあり、なんと2001年のBIN707を飲ませていただくことになりました。ペンフォールズが造るカベルネの最高峰で、しかも20年熟成。価格は普段飲んでるワインの25倍!

とんでもない体験をしました。香りをとって口に含んだ瞬間に、豪華絢爛なペルシャ絨毯(鮮やかな赤色)が浮かびました。同時に「あ、これ神の雫で誰か言ってたな」と気づいたのですが、エキゾチックな香水のような香りといい、少し曇ったスモーキーな香りといい、たしかな神の雫体験をするほど鮮烈な印象です。(後に調べたら、遠峯一青がシャトー・パプ・クレマン1986年を飲んだ時に出てきたみたいなので、ちょっとニュアンスは違うかな。)

爆発的な香りが落ち着くと今度はドライフルーツのように凝縮された果実味がはっきりと出てきて、余韻がものすごく長い!まだまだ熟成する感はありましたが、私はこのタイミングがすごく好きでした。とんでもなく美味しすぎてチビチビ飲みました。

 

幸せの極み、ありがとうございます。

 

そのあとはリラックスした気持ちで、同じく我が家が持ち込んだトルブレックのグルナッシュを飲みました。バロッサの単一畑ヒルサイドで造られたグルナッシュで、ジューシーで明るいワインでした。チーズや生ハム、おしゃれ惣菜をつまみながら酔っぱらう最高の時間。

そして、いつも場所を提供してくださる方のお部屋にはワインセラーとワインだけ入った冷蔵庫が一台ずつあり、飲むワインが足りなくなったらそこからなんでも飲んでいいという夢のような空間なんです。私は毎度セラーの前に正座してワインを物色します。その中から「あ、マクギガンの一番いいやつ。」と取り出したこってり濃い旨シラーズをいただき、その日のワイン会は終了しました。

 

さすが高級ワイン、珍しくすべてコルク。

 

この定例ワイン会は、私のオーストラリア生活後半においてかなり大きなイベントでした。語らいながらワインを飲める楽しみはもちろん、シドニーでなければ、そしてワインという繋がりがなければ出会えなかったのではと思うような素敵な方々とご一緒でき、本当に嬉しく感謝しています。今回で最終回かとは思いますが、帰国前にもう一度お誘いが来ることを待っている図々しい私です。

 

 

西オーストラリア州ワイン旅 スワンバレー編 オリーブファームワインズ / ジョンコソヴィッチワインズ / アグリーダックリングワインズ

シドニーからインディアンパシフィック号に乗ってパースへ。2泊3日のパース滞在中に2つのワイン産地に行きました。最終日は飛行機の時間までスワンバレーのワイナリー巡りをしました。

 

⇩前日にはマーガレットリバーに日帰りで行きました

hitsuji-cozy.hatenablog.com

 

マーガレットリバー同様、この日もパースドリームトラベルプランナーさんに「4時間+空港送迎コース」でチャーターをお願いし、飛行機の時間ギリギリまでワインを楽しめました。

 

 

スワンバレーは、パース市内から車で約25分の場所にあります。40以上のワイナリーがあり、温暖な気候のもと造られるシュナン・ブランの白ワインや酒精強化ワインが有名です。温暖というか、夏季は40℃を超えるものすごい暑さと乾燥だそうです。

ブドウの生育期にはほぼ雨が降らず、年間降水量のほとんどが冬季(6、7月)に集中しています。私たちは前日からスコールのような雨に何度も遭遇しているのですが、一年の内の貴重な雨期だったわけですね。

 

Olive Farm Wines

www.olivefarmwines.com.au

 

ドリプラさんの貸切バンで朝イチに向かったのはオリーブファームワインズ。ここは90分間の畑&醸造所ツアーを行っているので選んでみました。ワインメーカーさんの案内で畑の見学からスタートします。

 

 

1829年設立の4世代続くワイナリーで、ブドウは全てスワンバレー産。酒精強化ワインも含め、40種類ものワインを家族で(時には小さな子どもも手伝いながら)造っているのだそうです。ブドウ生育期の暑さと乾燥が厳しいため灌漑は必須で、ドリップシステム(点滴灌漑)のついた美しく整えられた畑でした。

 

 

ふと垣根につけられたタグを見ると、同じシラーズなのに葉の色も落ち方も全く違う場所がありました。なぜかと質問すると、「あ、だまされちゃった?タグと樹の品種名合ってないのよ~!畑これだけしかないからみんな分かってるの!あはは~!」と豪快なお姉さん。この後醸造所内の見学も、他ワイナリーでの経験なども含めながら、分かりやすく面白く説明をしてくれました。

ワインメーカーのお姉さんの説明に何度も出てきたのが、「収穫したブドウはできるだけ素早く運んでワイン造りを始める」ということ。(収穫開始から絞り終わるまで3時間以内を目指すと言ってたかな。)なのでブドウのほとんどが機械収穫であり、ナイトハーベストも取り入れてブドウのフレッシュさを保っているそうです。そしてふと「ペットナット好きじゃない」と冗談交じりに話していたように、ワインの味わいはクリーンで、品種の特徴が際立ったものが多いように感じました。

 

 

機械でビシッと整備された醸造所だったのですが、なんとスパークリングワインだけは手作業でルミアージュ(ワインのボトルに角度をつけて澱を瓶口に集める作業)しているんだとか。「ジロパレット高いし、大した量じゃないから!」とのことで、ワインメーカーさんは毎日のルミアージュ時間を楽しみにしているそうです。

 

 

じっくり一時間以上の見学のあと、ティスティングルームへ。スパークリングワインから始まり、白、赤、ポートスタイルの甘口ワインまでたっぷりいただきました。楽しく気軽に飲めそうなほの甘スパークリングワインと、カベルネ・ソーヴィニヨンの2本を購入して、次のワイナリーへ向かいます。

 

John Kosovich Wines

johnkosovichwines.com.au

 

こちらは前日のドライバーさんおすすめのワイナリーで、当日予定に追加してもらいました。地下にある素敵なセラードアでティスティング。この地下室も暑さの厳しいスワンバレーでワインを守るために建設されたものだそうです。

 

 

今年100周年を迎えた家族経営のワイナリー。ここで造られるボトル熟成のシュナン・ブランは、Best Chenin Blanc of Australiaとして数々の賞を受賞しています。他のワイナリーで飲んだスーパーフルーティーなシュナン・ブランとはかなり趣が違い、時間の経過によるトースティーな風味とシトラスやリンゴのようなシャキッとした果実味が融合する複雑な味わいです。

 

 

シュナン・ブランはこの地に移り住んだ祖先たちが持ち込んだ大切なブドウであり、暑くて乾燥したスワンバレーの気候にぴったりなのだとワインメーカーのアーチさんがお話してくれました。「ハンターセミヨン」のように「スワンシュナン」としてたくさんの人に飲んでもらいたいなぁと思いました。シュナン・ブランの産地は南アフリカだけじゃないですよ!

 

 

ここではお気に入りのワインがたくさん見つかったのですが、配送スペースの関係で3本を選んで購入しました。冷涼な産地を求めて手に入れたペンバートン(マーガレットリバーよりもさらに南)の畑のピノ・ノワール、マルベック&プティ・ヴェルドのブレンドワインと瓶熟のシュナン・ブラン。毎晩飲みたいしみじみとした美味しさです。

 

Ugly Duckling Wines

www.uglyducklingwines.com

 

白鳥の谷にある「みにくいアヒルの子ワインズ」。食事ができるセラードアなので行ってみました。

 

 

チーズプラッターとビーフパイ、グラスワインで乾杯!ここで絶品のビーフパイに出会います。今までオーストラリアで食べたミートパイは数あれど、美味しいと思ったものはありませんでしたごめんなさい。しかしこのビーフパイ、初めて「わっ!うまい!!」と思ったのです。カウンターのお兄さんに「すごく美味しい!!」と伝えたら、ここのシラーズを使って近くのベーカリーに作ってもらっているとのことでした。また食べたい。

 

 

ワインは気楽に飲めるフルーティーな味わいで、ピクニックランチにぴったり。ワイナリー巡りの合間のワインランチに大変おすすめの場所でした。

 

 

ここでタイムアップ。買ったワインを12本箱にまとめ、郵便局に立ち寄ってもらいました。ワインたちとしばしのお別れをしてパース空港へ。「全然時間が足りないよ~!」と嘆きながら飛行機に乗りました。

行きは72時間かけて到着したパースですが、帰りは4時間半のフライトです。インディアンパシフィック号の中で進んだ2時間の時差を返し、22時半頃にシドニーに到着。5日前に出発したセントラル駅に降り立って一周したような気分になりました。

 

 

今は買ってきたワインを一本ずつ開けながら旅の余韻に浸る日々を送っています。旅から帰っても楽しいワイン旅。次の行先はタスマニアです!

 

西オーストラリアのワインさんたち、我が家へいらっしゃい

 

西オーストラリア州ワイン旅 マーガレットリバー編 ストームファームワインズ / カレンワインズ / ルーウィンエステート

シドニーからインディアンパシフィック号に乗ってパースへ。到着後のパースでは2泊3日という短期滞在の中、日帰りでマーガレットリバーに行ってきました。南半球で一番長い桟橋と3つのワイナリーの訪問記です。

 

⇩インディアンパシフィック乗車の様子はこちらです

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パースからマーガレットリバーへの日帰り遠足

マーガレットリバーはパースから南へ約300㎞、車で約3時間の場所にあります。数泊して楽しみたい見どころの多い観光地ですが、私たちは休暇日数の関係でどうしても一日で戻らなくてはなりませんでした。

何個か見つけたパース発のバスツアーは曜日が合わずに諦めました。いつものワイン旅のようにレンタカーも考えましたが、私よりもマーガレットリバー訪問を楽しみにしている夫に、ワインを飲まずに往復6時間運転してとは可哀そうで言えず。(私はペーパードライバー。)

そんな中で見つけたのが、パースドリームトラベルプランナー(以下ドリプラ)という旅行会社でした。

 

www.perthdoriko.com

 

ドリプラさんはパース在住の日本人の方によるツアー会社で、なんと車一台のチャーターをお願いできるのです。ドリプラさんのブログでマーガレットリバー日帰りチャーターの記事を見つけ、メールですぐに問い合わせ。マーガレットリバーへの12時間コースと、翌日のスワンバレー4時間+空港送迎コースを申し込みました。

今回この強行スケジュールのワイン旅を存分に楽しめたのは、ドリプラさんのおかげです。

 

パースを出発しバッセルトン桟橋へ

朝7時、ドリプラさんのバンがホテルに迎えにきてくれました。2人で貸切るにはもったいないくらいの広さの車です。

ドライバーさんの軽快な運転でどんどん南へ向かいます。日本在住歴のある大変親切なドライバーさんで、道中パースやマーガレットリバーについて様々なお話を聞かせていただきました。パースには冬がなく、春夏秋がさらに6つの季節に分かれているんだとか。天気予報はほとんどあてにならず、スコールのような豪雨が降ったり止んだりを繰り返すこともよくあるそうです。

 

バッセルトン桟橋到着前の悪天候

 

どんよりと怪しい空模様の中、無事にバッセルトン桟橋に到着できるかと心配していた矢先にやはり大雨。まさにバケツをひっくり返したようなどしゃ降りと強風で泣きたくなりました。そんな中でもひょうひょうと運転を続けるドライバーさん。すると10分後には雨があがり空が少し明るくなり始めました。これが西オーストラリアの典型的なお天気模様。

 

ザブンと荒々しいインド洋

 

出発から2時間半ほどでバッセルトン桟橋に到着です。現在は観光アトラクションとなったこの桟橋は、1973年まで農作物や家畜、木材の輸出用に使われていました。電車か徒歩で桟橋の先まで行くことができ、終点には水中水族館があります。

 

 

往復15ドルのチケットを購入し、電車に乗ってみました。「スリリングなお天気のトレインを楽しんでね!」みたいな車内アナウンスと共にゆっくりと動き出す電車。雲の間から光をさした海がとてもきれいでした。

 

 

桟橋の先に着くと、15分後に電車は再出発します。そのまま復路の電車に乗り、往復45分の旅を楽しみました。早くワインが飲みたい私です。

 

全長1841m。映画「千と千尋の神隠し」のモデルになった場所だそうです。

 

桟橋見学のあとは、さらに30分ほど車に乗ってマーガレットリバーに向かいます。ここでドライバーさんに時間配分の相談をし、予定にはなかったおすすめの小さなワイナリーに立ち寄ってもらうことになりました。

 

Stormflower Vineyard

www.stormflower.com.au

 

ワイナリーの門を入るとブドウ樹の間をぴょこぴょこ走る羊たちの姿が見えて、あまりの可愛さに大騒ぎ。羊たちに雑草を食べてもらうことで、除草剤の使用を控えているのだそう。そんなストームフラワーヴィンヤードは、2017年に有機栽培認証を取得しオーガニックワインを作る小規模ワイナリーです。

 

 

ナチュラルな雰囲気のセラードアで、8種類のワインをティスティング。そして素敵なペットナットに出会えました。98%のソーヴィニヨン・ブランに2%だけカベルネ・ソーヴィニヨンを加えたという、かわいいピンク色のワイン。澱がごっそり残っているのですが、とってもピュアでペットナット特有のクセも少なめ。ピーチやグァバのようなみずみずしさがあり、「あ、ソーヴィニヨン・ブランだなぁ」と思いました。日々お気に入りのペットナットを見つける難しさを感じているので、大変嬉しい出会いでした。

 

 

ペットナット2本とカベルネ・シラーズを1本購入。この先増えるであろうワインを入れるためのダンボール箱をいただいて、次のワイナリーに向かいました。

 

雨と晴れが短時間で繰り返されるので虹が出やすい

 

マーガレットリバーは弁護士さんやお医者さんなどがリタイア後に趣味でワイン造りをするケースも多く、頻繁にワイナリーの売買が行われているそうです。「あれ?ここも、あそこも名前が変わってる!」とドライバーさんが言っていました。

 

Cullen Wines

www.cullenwines.com.au

 

 

カレンワインズでは美味しいと評判のランチを予約しました。ランチの前にティスティングを薦められたので、もちろん全部いただきます。ペットナットやアンバーワイン、ボルドーを思わせるカベルネ主体の赤、ブルゴーニュを思わせる芳醇な白など、本当に幅広く全てのワインの無敵具合と言ったらもう。そして普段「シャルドネ以外の何か」が口癖だった私が、ここでまさかのシャルドネに惚れ込んでしまったのです。

 

 

カレンワインズは、医師であったケヴィンさんと妻のカレンさんによって1971年に設立されたワイナリーです。設立当初から自然な畑を最優先にワイン造りをし、1981年には娘のヴァーニャさんと共に完全有機農法に切り替え、2004年にはバイオダイナミック農法の認定を受けました。

 

 

ヴァーニャ・カレンさんは、2022年のハリデーワインコンパニオンでヴィティカルチャーオブザイヤーを受賞されています。授賞式をオンライン視聴していた私は美しいカレンワインズの映像を目にし、「行ってみたい!!」と思っていたのです。ついに訪問できたカレンワインズ。有名ワイナリーであるにも関わらずどこか素朴であたたかみのあるワイナリーでした。

 

 

ワイナリーでいただくランチは、メニューの90%以上がカレンワインズのお庭で採れた食材で構成されています。一皿一皿が綺麗で美味しく、丁寧に作られたお料理に心が満たされました。

ここでワイナリー創設者であるケヴィン・カレン氏の名を冠したシャルドネをグラスで注文。普段あまりシャルドネは飲まないけれど、シャルドネの有名な産地だし、ボトルで買うには高級すぎるから、というのが選んだ理由。結果、あまりの美味しさに一本買ってしまいました。もう一本オンラインオーダーしようかと今本気で悩んでいます。

 

 

飲んだ瞬間に浮かんだのは、まんまる。ブドウ本来の酸味、燻ぶったような香り、まろやかな果実味、お花の香り、舌に広がるやわらかい感触などなど、いろーんな要素が寄せ集まって緻密なバランスで正確な円を描いているような感覚。しばらくぶりに心底旨いシャルドネに出会えた感じがします。

 

レストランの前の菜園にはコースのお皿に乗っていた葉っぱや蕪が植わっていました

 

ウェブサイトの情報によると、シャルドネビオディナミカレンダーの果物と花の日を含む3週間にわたって収穫され、バイオダイナミック農法の樽、コンクリートエッグ、アンフォラで自然発酵。35%を新樽で8か月間熟成し、清澄・ろ過なしで瓶詰めされました。20年の熟成が可能とのことですが、今飲んだあの感じがたまらなく好きでした。今飲む用とあとで飲む用、やっぱりもう一本必要。

ゆーっくりと2時間近くをかけたランチのあとは駆け足でお庭を散歩し、最後のワイナリーへと向かいました。

 

ドライバーさんが行きにお話してくれた「冬がない6つの季節」のカレンダーがありました。

 

Leeuwin Estate

leeuwinestate.com.au

 

広い敷地内にセラードアがあります。屋外コンサートなども開かれるそうです。

 

ミニボルドーと称されワイン産地として有望視されたマーガレットリバーで、ロバート・モンダヴィが指導を行ったのがルーウィンエステート。その後デカンター誌が1981年の「アートシリーズ」を世界最高峰のシャルドネとして取り上げ、国際的な注目を集めました。マーガレットリバーに来たのに行かないわけには…という夫の強い希望で訪れたセラードアは、プレミアムワイナリーと呼ぶにふさわしい高貴な空間でした。

 

 

アートシリーズを中心に色々飲んでみるものの、若いカベルネ・ソーヴィニヨンって本当に難しいですよね。ボルドーワインの試飲会に行くと飲めば飲むほど分からなくなる感覚を思い出しました。まだまだ早いということであり、まさに偉大なボルドーに匹敵するワインであり、私たちの舌ではポテンシャルを見極めることも難しいと諦めて、気に入ったエチケットデザインのワインを選ぶという買い方をしてきました。アートシリーズには、毎年オーストラリアの若手アーティストの絵が採用されています。

 

 

購入した2012年は市松模様のソファーみたいな絵が描かれていて、あるワイン評論家に「オーストラリアのシャトー・ムートン・ロートシルト」と称されたヴィンテージだそうです。大切に日本にハンドキャリーします。

さくっとティスティングをし、ささっと地下の展示室を回り、タイムリミットがやってきてしまいました。購入した5本のワインと共にパースへと帰ります。

 

地下はアートシリーズの原画が見られるミュージアムになっています

 

やはり日帰りでは到底足りないマーガレットリバーですが、チャーターのおかげでワイナリーにプラス一か所立ち寄ることができ、ランチタイムもゆったりと楽しむことができました。思う存分ワインを飲めたことももちろん良かったです。ほんのすこーしだけれど産地の風を感じることができた充実の一日でした。

翌日は飛行機に乗ってシドニーへ。その前にパース近くのワイン産地スワンバレーでワイナリー巡りを楽しみます。

 

 

インディアンパシフィック号に乗ってオーストラリアを横断!【Day3, Day4】

シドニー発、インディアンパシフィック号でパースへ。3日めは世界一長い直線路で有名なナラボー平原に入ります。

 

⇩2日めの様子はこちら

hitsuji-cozy.hatenablog.com

 

【Day3 午前】ナラボー平原に突入

 

本当によく眠れた2日めの夜。6時に目覚ましをかけていたら、その10分前に起こされて日の出を見ることができました。

お腹はあまり空いていませんでしたが、ランチ・ディナーとの間隔調整のために6時半に朝食へ。この日はほぼ一日列車の中で過ごすことになるため、「ベッドを片付けなくて大丈夫です」というメモを残しておきました。

食堂車に行くと、そろそろ皆さんだいぶ顔見知りです。私と夫の会話の中では「クイーンズランドのご夫婦」とか「ビールを飲み続けているおじさん」など、出身地やラウンジでよく飲んでいるドリンクで認識していました。

 

 

朝ごはんのあとはラウンジでカプチーノ。そして部屋に戻ってゴロゴロ、ウトウト、時々読書。ふと窓の外に目が移りぼーっとしてしまうことが多いので、映画を観るという感じでもなく、何度も読んだ本や雑誌なんかがちょうどいいです。

12時過ぎ、世界一長い直線路で有名なナラボー平原に入りました。478㎞の直線路、ひたすら続く地平線を眺めます。車内放送で「ナラ=無い、ボー=木」という意味だと言っていましたが、背の低い木は生えています。

 

 

時間の流れが早いのかゆっくりなのか、よく分からなくなってきます。「あと2時間で次の目的地です」という車内放送が入ると、「もうすぐだな!」なんて思ってしまいます。シドニーで2時間も電車に乗るとなるとだいぶ長いはずなのに。良い意味で時間を持て余している感じがたまらなくて、「何もしない」を満喫しました。

12時40分頃、クック駅に到着。30分ほどの散策のため下車します。1917年に作られたこの駅はアウトバックを支える町として一時は栄えていたものの、1996年にその役目を終えて周囲の居住地も徐々に衰退。現在は週2回インディアンパシフィック号が停車して給油をし、今いる数名の住人に食料や生活用品を届けているそうです。

 

クック駅の簡潔すぎる案内表示。souvenirsを売っていたこともあったそうです。

 

長い列車の全貌が見られる唯一の駅です。まずは先頭車両に行ってみました。セントラル駅で見た時よりもさらにかっこよく見えたインディアンパシフィック号。やっぱりアウトバックがよく似合います。

 

給油中のインディアンパシフィック。凛々しい。

 

クックの街の中を経由して最後尾車両に向かいました。昔の面影を残す学校や病院などがあり、寂しい雰囲気です。

 

 

この日の貴重な運動時間なので、時間いっぱい歩き回り体操もしました。そんな私たちよりもさらに遠くへ、乗車時間ギリギリまで早歩きをしている男性がいました。後ほど聞くとパースに着いてからマラソンに出場するとのこと。インディアンパシフィック乗車前後の過ごし方も本当に人それぞれです。

 

最後尾車両は車を載せていた!

 

車内に戻ってランチタイム。朝を早く食べていたこともあり、列車に乗って以来初めて空腹を感じました。夫が注文したラクダカレーを恐る恐る一口だけ食べてみたら、ほろほろと柔らかくてビーフみたいに美味しかったです。

 

ラクダカレー(下)

 

午後も本読み、ウトウト、外を眺める、日記を書くを繰り返すこと数時間。15時半過ぎに南オーストラリア州から西オーストラリア州に入りました。暗くなって外が見えなくなってからは、ダウンロードした映画を観て過ごしました。

 

 

【Day3 夜】ロウリナ駅で過ごす最後の夜

お気に入りの写真です

 

19時頃ロウリナ駅に到着。しんと冷たい空気の中、外歩きを楽しみました。夏季はここで屋外ディナーとなりますが、この時期は思い思いに焚火や星空、生演奏を楽しむ自由時間。列車の中からグラスどころかワインボトルごと持ってきている賢い方もいました。

 

 

かなり寒かったのでさくっと列車に戻り夜ごはん。絶対に食べ過ぎなのは分かっているのに、前菜もデザートもパスせずに欲張ってしまいます。毎食腹十二分目です。

食後にレイトハーベストのデザートリースリングを飲んでワインリストをコンプリート!ちなみにデザートワインはオージー英語で「スティッキーワイン」と言うことも、ラウンジで教えてもらいました。

 

充実のワインリスト。初日に写真を撮って今日はどれを飲もうかと毎日考えていました。

 

日中昼寝ばかりしていたのに、部屋に戻って22時には寝てしまいました。深夜にふと目が覚めると外が騒がしく、時計を見ると午前2時。私は再び寝に入ってしまったのですが、かなり大きな衝撃があったと翌朝知りました。あれはなんだったんだろう。

 

ラウンジのテレビに映っている地図

 

【Day4】パースに到着

 

最終日は15時のパース到着まで何もありません。6時半に起床し、7時半頃朝食へ。部屋に戻って再びゴロゴロ。結局、2日めの夜から到着の1時間前まで私の部屋のベットは広げたままでした。12時半に再び食堂車へ。食後に最後のワインをラウンジでいただきました。

インディアンパシフィック号での食事はすべて大満足でした。電車の中で作っているとは思えないほどで、それを抜きにしてもすごく美味しかったです。帰り際に列車の廊下でシェフにお会いでき、直接お礼を伝えられました。

 

 

荷造りをしながら少し寂しい気分に。ここ数か月心から楽しみにしてきたインディアンパシフィックの旅がもうすぐ終わってしまいます。でもそれと同時に、今後色々な場所でクルーズトレインやクルーズシップに乗ってみたいという新たなバケットリストも増えました。

 

 

15時10分、イースト・パース駅に到着。お部屋のご近所さんとは「良い旅を!」とご挨拶をし、最初から最後までいつも気にかけてくれたマネージャーさんにもありがとうを伝えました。そしてタクシー乗り場にまでインディアンパシフィックのスタッフの方がいて、最後までお見送りをしてくれた素晴らしいホスピタリティ。

 

 

パース市内のホテルにチェックイン。荷ほどきをしてコインランドリーに行くと、2時間前に別れを惜しんだ「ビールのおじさん」と奥さんも洗濯をしにやって来た!爆笑の再会を果たし、「今夜はシャワールームも揺れないしベットも広くていいわね~!」なんて冗談を言いながら別れました。その後散歩中にもご近所さんとばったり会い、世間話をしました。

ディナーは3日ぶりの白ごはんを食べに日本食料理店へ行ってしまいました。そして久しぶりにバスタブにお湯をはってくつろぐものの、もうすでにあのタイニールームと車内の揺れや音が恋しい夜。

 

 

今回インディアンパシフィック号に乗って、心に決めたことが一つあります。旅は行きたい時に躊躇しないということ。

クルーズトレインはなんとなく老後に楽しむものと思っていましたが、揺れる車内でシャワーを浴びたり、小さなベットで寝たり、お腹いっぱい飲んだり食べたり、気力体力がしっかりしていないと楽しめないような気もします。思い切って今回行ってみて本当に良かったです。

クルーズ旅に限らずとも、「いつか行きたいなぁ」と思ったままにせず、行きたい所に必ず行きます。旅好きな方に多く会い、まだまだ色々な世界を見てみたいと刺激を受けました。

 

 

ここまで3回にも渡って書いておいてなんですが、10分ほどにまとめた動画も作りました。いつも旅行やお出かけをすると、日本の家族に見せる用で動画を作りYouTubeで限定公開しています。夫婦のツーショットなど無益な写真は消して短くしたので、良かったら見てください。

YouTube提案のサムネイルがまさかのシェリタさん(ブロークンヒルのクイーン)だったので、そのままにしておきます。

youtu.be

 

ささやかな夢が叶った幸せの4日間。しばらくは余韻に浸ったままです。

 

 

インディアンパシフィック号に乗ってオーストラリアを横断!【Day2】

シドニー発、インディアンパシフィック号でパースへ。2日めは南オーストラリア州に入りました。

 

⇩1日めの様子はこちら

hitsuji-cozy.hatenablog.com

 

【Day2 午前】ブロークンヒルの見学

1日めの夜はほとんど眠れぬまま過ごし、5時過ぎに起き上がってのそのそと身支度を始めました。まだニューサウスウェールズ州内でしたが、時差によって寝ている間に30分時間が戻っていました。(州都シドニーから約1160kmも離れているので、南西500kmに位置するアデレードとの結びつきが強く南オーストラリア時間を使用、とWikipediaより。)

 

朝早かったので、列車の中でお留守番の方もいました

 

6時半頃、ブロークンヒルに到着。ここはニューサウスウェールズ州西端のアウトバックにある都市で、かつては鉱物資源で栄えた場所です。今は観光や農業、文化活動の振興に力を入れています。

列車の外にはバスが数台待っていましたが、私たちが選んだのは駅周辺をひたすら徒歩でまわるコースです。そして案内役がドラァグクイーンシェリタさん。ブロークンヒルは「Broken Heel」というドラァグクイーンのショーでも有名な街なのだそう。

 

 

気温6度の寒さの中、バスのグループをちょっとうらやましく思いながら歩き始めます。歩きに遅れるとシェリタさんがすかさず笛を吹いて「Guys! Keep up!」と野太い声を出すので、一生懸命前方をキープしました。ユーモアたっぷりのシェリタさんの解説を聞きながら、かつて使用していた鉱業の機械、列車博物館、ブロークン・ヒル生まれの芸術家プロ・ハート氏の屋外作品などを見て回る約1時間の散策。列車生活での運動不足解消にもなりそうです。

 

 

早朝からばっちりヘアメイクで案内をしてくださったシェリタさんをはじめ、モーニングティーを用意して出迎えてくださった街の方々に感謝の気持ちでいっぱいでした。アウトバックの中なので、インディアンパシフィック号だからこそ立ち寄ることのできた場所だったと思います。

 

 

列車に戻るとそのまま朝食を食べるよう促されました。散策中にもコーヒーやペストリーなどいただいたけれど、レストランでの朝ごはんはまた別物。その後は部屋に戻り、片付けられていたベットを自分で引き出して前夜の睡眠不足を補うことにしました。

3時間ほどウトウトしたりボーっとしたりしているうちに、もうお昼ごはんの時間がやってきます。お腹は空いていませんが、時間割通りに食堂車へ。

 

 

ランチのあとはまた部屋に戻り、ベットの上で読書、日記、ウトウト。14時頃に一度停車し、バロッサヴァレー組が遠足に出かけていきました。その後15時過ぎにアデレード駅(クルーズトレインのためにある特別なホームのようだった)に到着し、バスに乗り換えてマクラーレンベールへ向かいました。

 

 

【Day2 午後】マクラーレンベールのワイナリーへ

 

マクラーレンベールは、半年前に南オーストラリア州ワイン旅で訪れた場所です。あまりに素敵な街で「オーストラリアで次に住むなら絶対にここ!」と思いました。そんなマクラーレンベールに再訪できることが本当に本当に嬉しかった!!収穫を終えて紅葉した美しいブドウ畑が見られました。

 

 

ワイナリー「コリオール」では、自家製のチーズ&オリーブと共に6種類のワインを試飲しました。イタリア系品種のパイオニアと言われるコリオールなので、行く前からフィアーノとネロ・ダヴォラに狙いを定めていたのですが、残念ながらセラードアでも既に完売。試飲して美味しかったサンジョヴェーゼと、どんな感じかしらと聞いたら「OMG! It's incredible! Great choice!!」とのことだったグルナッシュを買って帰りました。

 

かわいらしいお庭とあたたかい雰囲気のレストラン&セラードア

 

その後ワイナリーを出発し、Star of Greeceという海沿いのレストランに到着。夏季ならば素晴らしいオーシャンビューを見ながらの夕食となったようですが、真っ暗で何も見えなかったので潮の香りだけ楽しみました。ここのレストランは地元でも有名店のようで、お料理がすっごく美味しかったです!そして、ワイン(フィアーノとグルナッシュ)をどんどん注いでくれます。

3種類の前菜はシェアスタイル。10人ほどの長テーブルでの食事中、食べきれなかったプレートが「あの若い男の子へ」と夫のもとへと運ばれてきました。インディアンパシフィック号では35歳でも若い男の子になれます。

 

 

そして徐々に、苦手意識の強かった英語でのソーシャルタイムに必勝法を見つけ出しました。それは、相手への質問を紡いでいくこと。クルーズトレイン旅をするくらいなので、皆さんお話好きで旅好きです。旅の思い出を聞いてみれば、尽きることのない楽しいお話をたくさん聞かせてもらえました。

その夜も、オーストラリア縦断列車ザ・ガンのお話(どちらも経験した人はインディアンパシフィックよりもザ・ガンの方が良いと口を揃えて言うんですよね。)南アフリカで自分が檻に入りダイビングをして鮫に会ったお話、ベトナムラッシュアワーに自転車に乗って大興奮だったお話など、それぞれの旅の話題で盛り上がりました。

 

夏季の夕暮れ時はかなりの絶景のはず

 

マクラーレンベールからインディアンパシフィック号に戻ったのが22時頃。ここでパース時間に設定するように言われ、なんと1.5時間も時間が戻りました。出発前、移動中の時差ってどうするんだろうと思っていたのですが、「列車内時間」のようなものが存在している感覚でした。本当はまだしばらく南オーストラリア州だけれど、みんなで一斉に時計を巻き戻してその時間で行動しよう、という感じでしょうか。

ボーナスタイム!20時半に戻ったのでラウンジに向かいます。やはりお酒好きは考えることは同じで、ラウンジはかなり混みあっていました。

 

駅のロビーには車内より大きなお土産屋さんがありました

 

ワインはたくさん飲んだので、どなたかが飲んでいたベイリーズを注文。気が付くとそこにいた女性陣はほとんどがベイリーズを飲んでいました。そんなことに笑ったり、それぞれのアデレード観光のお話をし合ったり、明るく和やかな時間でした。

1日めは「思ったより揺れが強くて眠れない…」と思っていたのに、2日めには身体が慣れてその揺れや車輪の鳴る音、窓のきしむ音まで心地よく思えてくるから不思議。この日は朝までぐっすり眠りました。

 

どうせ誰も見てないからブラインド開けたまま寝ます

 

Day3につづく…

 

昼間のラウンジはひっそり