オペラハウスとハーバーブリッジをバックに、オープンエアーで観劇ができるオペラ『ハンダ オペラ オン シドニー ハーバー』に行きました。
その名の通りシドニー湾に浮かぶステージでのオペラは、鳥肌が立つほどの感動体験でした。
ハンダ オペラ オン シドニー ハーバーについて
2012年からスタートしたハンダ オペラ オン シドニー ハーバー。毎年3月~4月の約一か月間ロイヤルボタニックガーデンの一部に特設ステージが建てられます。オペラハウスを本拠地とするオペラ・オーストラリアによる上演です。(2020年はCOVID-19の影響で直前でキャンセルに…)
「Opera for Everyone」と言われるこのイベントは、難しそう、敷居が高そう、と言ったオペラのイメージを覆すようなたくさんのワクワクがあります。景色の美しさは言うまでもなく、お酒やおつまみを味わいながら観ることができるピクニック的な要素も楽しみの一つです。会場内には5か所のバーや軽食のお店があり、開演の2時間前からオープン。観客のみなさんは夕日を眺めながらカクテルタイムを楽しんでいました。
今回の演目はヴェルディの代表作「La Traviata」。日本では「椿姫」の名で知られる傑作オペラです。過去の演目も、アイーダ、カルメン、マダム・バタフライ、トゥーランドットなど一度は観てみたい超有名作品ばかりでした。
また余談ですが、気になっていた「Handa」の意味について調べました。なんと、日本の宗教家・実業家・経営コンサルタントである深見東州氏の本名「半田晴久」からきていました。
みすず学苑の代表としても知られる深見氏は多分野において造詣が深く、芸術やスポーツの後援等をする際には半田晴久の名を用いて活動しています。音楽分野では自身も楽器や声楽を学び、46歳で武蔵野音楽大学特修化声楽専攻を修了。その後51歳で西オーストラリア州立エディスコーワン大学芸術学部を修了しました。それからも様々な音楽活動に携わり、2012年に始まったシドニー野外オペラは、大口スポンサーとなった氏の名を冠して「Handa Opera on Sydney Harbour」と命名されたそうです。
ハンダ オペラ オン シドニー ハーバーの楽しみポイント
ヴェルディ音楽の旋律の美しさとか、感情移入して涙が込み上げてしまうほどのヴィオレッタの演技力とか、劇自体は論じる必要のない素晴らしさだったので、このオペラならではの楽しみポイントを挙げてみます。
他にはない最高立地
前述の通り、オペラハウスとハーバーブリッジをバックに舞台が組まれています。市内ビル群の煌めき、舞台上の大シャンデリア、美しい歴史的建造物、移りゆく空の色、それらの調和が楽しめる特別な空間です。
洋上ステージを生かした驚きの演出も見ることができました。観劇前はプロモーション用なのかと思っていたのですが、このサムネイルそのままの大迫力の演出が楽しめます。
緩い斜面になるよう組まれたひし形のステージ。オーケストラピットは外から見えず丸ごと舞台の下に設置され、スピーカーにより拡散されます。完全な舞台の袖もないため、開演時間が近づくと黒い布を纏った演者さんたちが海の上に造られた通路を歩きステージの後ろ側に待機していました。
客席の後ろは森。コウモリも見つけました。上演中も鳥や虫の鳴き声が聞こえてくる不思議な空間です。
全天候型エンターテイメント
完全な屋外で屋根は無く、雨天決行。雨が降った場合身を守るものはポンチョのみです。(台風、雷の場合は中止。)オペラ・オーストラリアのウェブサイトには天候についての項目に、「雨天時には、雨の中演じるキャストたちを応援しましょう!」みたいな呑気なことが書いてあります。
この日の天気予報は雨マークがなく日中もとても暖かかったため、完全に油断して軽装で向かいました。第2幕の途中、休憩の前にパラパラと雨が降り出し…。休憩時間にはポンチョを買いに行きました。その間にも「This event is an all-weather experience.」というアナウンスが入り、なぜか喜びや笑いの声をあげる陽気な観客の皆さん。
そのあと第3幕に入り、ヴィオレッタが病床に伏して歌うシーンで、この日最大の雨降りタイムがやってきてしまいました。ベッドに横たわるヴィオレッタの顔に降り注ぐ雨。しかし少しも動揺することなく悲劇のアリアを歌い上げたプロ根性に脱帽でした。
この日から夜に雨が降ると演者さんたちを心配し、心の中で応援しています。過酷な環境下でのお仕事、本当にお疲れ様です。
チケット予約・お出かけの前に…
座席や服装など、行ってみて分かった野外オペラで気を付ける点がいくつかあります。
席選びについて
客席は座席が折り畳まれる簡易的なシートです。私たちは予算の関係もあり最後列を選んだのですが、結果的にすごく見やすかったです。前方だとかなり見上げて観賞することになるようで、休憩の後にわざわざ後ろに移動してきている方もいました。(席にかなり余裕があったので許された様子。)
また、席ブロックはDがステージ真正面となります。私たちはD寄りのブロックC通路側で、ステージ、オペラハウス、ハーバーブリッジのアングルがばっちりでした。前方後方よりも、舞台センターへの近さが見やすさを決めるかなと感じました。
※あくまで2021年上演時情報ですが、次回もこの付近を選ぶ予定です!
お洒落より防寒・防雨重視
オペラハウスでの上演時とは少し違い、皆さん服装もわりとカジュアルで防寒対策をしっかりされていました。どんなに日中暖かい日でも、日が落ちると急に冷え込みむので、ライトダウン、ひざ掛け、ストール、雨を凌げる上着は必携です。
会場内で、コンポスト可能なことが強くアピールされたポンチョを5ドルで購入することもできます。
落とし物に要注意
野外に組まれた仮設のシートなので、まさかという所に隙間があります。休憩に入ってすぐ膝の上からバックを逆さまに落とし、ほんの3㎝の隙間から座席下深くにスマホが吸い込まれました。本当にどんくさい話。
周りのお客さんの協力や、親身に対応してくださったスタッフの方々のおかげで閉演後無事に手元に戻りましたが、どれだけの人に迷惑をかけたのかとかなり落ち込みました。
落とし物にはご注意くださいね。
観劇前の食事はFinger Wharfもおすすめ
会場内にもお酒やごはんを楽しむ場所がありますが、私たちはしっかり食事をしたかったのでFinger Wharf(フィンガー・ワーフ)にあるレストランでアーリーディナーをしてから向かいました。
古い倉庫を改装して造った建物には、ホテルやレストラン、レジデンスが入っています。デッキに沿って並ぶオープンテラスのレストランはとても気持ちが良いです。
ここはオペラの会場から歩いて10分ほど、17:00からオープンしているお店もいくつかあるため、観劇前の食事に良いのではと思います。
おわりに
この夜の観劇はシドニー生活の思い出の中でもかなり上位にくるほどの感動体験でした。必ずまた行きたいです!
COVID-19による一年間のお休み期間を経て、オペラ・オーストラリアは今年たくさんのオペラを上演予定。芸術を楽しむことのできる世の中が戻ってきて本当に良かったです。我が家は早々にアイーダを予約しようと思います。
最後に本件とは関係ないのですが、見ているだけで足がすくむのになぜか何度も見てしまう「誰も寝てはならぬ」のお気に入り動画をおいていきます。
お読みいただきありがとうございました!