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シドニー唯一の都市型ワイナリー『URBAN WINERY SYDNEY』でピジャージュ体験【ワイナリー訪問記】

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2021年ヴィンテージのワインが各地で醸され始めている南半球。

大都市シドニーの真ん中にある醸造所アーバン・ワイナリー・シドニーで、ワイン造り体験をしてきました。

 

URBAN WINERY SYDNEYについて

 

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シドニーで唯一のワイン醸造所であるアーバン・ワイナリー・シドニー。ムーアパークのThe Entertainment Quarter内にあり、醸造施設にワインバーが併設されています。

2016年、アレックス・レティーフさんというワインメーカーが、オーストラリア初の都市型ワイナリーをセント・ピーターズに立ち上げました。その2年後、2018年4月に現在のムーアパークへと移動してきたそうです。

アレックスさんはご両親が90年代にブドウ栽培を始めたことをきっかけに、1997年からワインメーカーとしてのキャリアをスタート。オーストラリアでワイン科学を学んだあと、アメリカ・カリフォルニアのソノマ、オーストラリアのハンターヴァレー、フランスのラングドックやボルドーでの経験を経て、2008年に自身のレーベルであるA.Retief Wineをリリースしました。現在もレティーフ・ワインのシラーズはお父様の畑のものだそうです。

 


Meet the winemaker Alex Retief

 

レティーフ・ワインは、3つのワイン・リージョンのブドウ農家と契約をしています。GUNDAGAI(ガンダガイ)、HILLTOPS(ヒルトップス)、TUMBARUMBA(タンバルンバ)という、首都キャンベラに近接する冷涼な産地です。

今回ワイナリーで発酵途中だったブドウたちは、5日前の深夜1時にこれらの産地を出発し早朝6時にシドニーに到着したシラーズとメルローでした。

 

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数か月前、別の用事でムーアパークに行った際この醸造所を偶然見つけ、WINEの文字に吸い寄せられるようにフラフラと建物内に足を踏み入れました。その日醸造スペースでは何かイベントをしていたのですが、ワインバーは閉店中。残念…と思っていたところにアレックスさんが出て来て、忙しかっただろうに私たちに色々とお話をし「また来てね!」と素敵な冊子を渡してくれたのです。

今回のクラスでもアレックスさんの人柄の良さや優しさが溢れ、参加者みなハッピーな素晴らしい時間を過ごすことができました。

 

ピジャージュ体験

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アーバン・ワイナリー・シドニーでは、ティスティングやブレンディングのクラスを定期的に開催中です。3月の収穫期のみ、ワイン造りの一工程であるピジャージュが体験できるセッションがあります。

ピジャージュとは、アルコール発酵途中の果汁と果皮を櫂で混ぜることを言います。英語ではプランジング

赤ワインはブドウの実をつぶしてジュースと皮や種を何か入れ物に入れると、自然に(または故意に)アルコール発酵が始まります。ブドウの糖分が分解されて、アルコールと二酸化炭素が発生するので、ブクブクと泡が出て皮が浮き上がってしまいます。その皮や種の色素や渋み、香りの成分をしっかり出すために、果汁の中に押し込むように混ぜ合わせます。

 

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日曜日の昼下がり、早すぎても迷惑かな、などと考えながらもクラスの10分前に到着。ワインバーエリアで待つように促され、何やらワインがもらえるみたいだったのでカウンターで「あの…プランジングクラスを…」と伝えました。バーのお兄さんが赤と白どちらがいいかと尋ねたので、一杯ずついただきました。

朗らかなサンジョヴェーゼと、クラシックなリースリング。もう既に楽しい気持ちでいっぱいです。

 

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「みなさん、グラスを持ったままこちらへどうぞ!」というアレックスさんの声掛けで醸造所へ移動し、クラスがスタートしました。

スタート前にグラスが空になっている人には注ぎ足してくれます。むしろグラスが空になっていると「いい意気だ!」と褒められます。そうです、このクラス中は赤白ロゼ飲み放題。さらにアルコール発酵途中の果汁も飲み放題なんです。

 

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ワインリージョンやブドウ品種のお話があり、ピジャージュをする前にまずは果汁の温度と糖度を測る作業に移ります。その際にアレックスさんの助手として数値を記録する係に私が任命されました。「君のハンドライティングが上手なの知ってるからさ!」とか冗談を言われながら、ファイルを渡された私は緊張で硬直。

20名以上の参加者はほぼオーストラリア人です。なぜ顔が平たく英語ができなそうな私を指名したのかは未だに謎ですが、私はその後他の参加者がキャッキャとピジャージュ体験をし、ヘルプユアセルフでワインや生ハム&チーズを楽しむ傍ら、飽きることなく興味津々で12槽すべての記録をしました。

 

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2時間しか経ってないのに糖度が1.2下がってる!

あ、この一槽でワイン約1000本分ですか!

ふむふむ、今の糖度が9.7ということはアルコール度数は?3.3度なんですね!

えっ、同じ日に発酵始まったのに窓際の方が進むの早い!

どこで発酵止めるんですか?あ、糖度ゼロまでするんですね!

など話しながら一槽ずつ果汁をもらって飲み、シュワっと甘いメルローとシラーズに頬を緩ませながらも、数値を聞き逃すことなくアシスタント無事終了。

槽の中で終始プクプクと音を立てるブドウが愛おしく思えるほどでした。

 

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感じたことはやはりワイン造りはナチュラルで豪快だということ。アレックスさんは素手で槽内に腕を突っ込み果汁をすくって糖度を測っていたし、数日前には参加者が足踏みでピジャージュをしたセッションもあったみたいです。絶対いろんなもの入ってますけど、古代からそれこそがワインなんですよね。

 

無事に温度・糖度の記録を終えた私と夫もピジャージュに挑戦。アレックスさんはスイスイとリズミカルに混ぜ合わせていましたが、想像以上に重くかなり難しかったです。

 

全く腰が入っていない素人のピジャージュ。

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プロのピジャージュはさすがでした。

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セッションの1時間半はあっという間に過ぎ、ひとり1本好きなワインのお土産をいただいて終了となりました。

私たちは、ものすごく楽しかったとお礼を伝え、アレックスさんの日本旅行のお話を聞き、シラーズとソーヴィニヨン・ブランを1本ずついただきワイナリーを後にしました。ソーヴィニヨン・ブランは樽の効いたボルドースタイル。普段なら一番選ばないタイプなのに、少し飲んだら美味しくてはまってしまいました。

 

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レティーフ・ワインは、冷涼な気候から造られたエレガントなスタイルが特徴とのこと。重くて濃いオーストラリアワインのイメージとは一線を画した造りを目指している、とお話されていました。

数種類飲んでみて、どのワインもフード・フレンドリーな感じがしたのと、どこかあったかくてのびのびとした優しさを感じました。たくさんのワインラバーのワクワクとスマイル(と、汗)が入っているからかなぁ。

 

ちなみにこのクラスは一人100ドル。予約時は結構高い…⁉とも思いましたが、貴重なお話や経験、ワイン飲み放題(おつまみ付)にお土産までいただき、私たちは大大大満足でした。ファンになったし、今後ムーアパークに行く度に必ず立ち寄るでしょう。

 

アレックスさん、楽しい学びをありがとうございました!また必ず遊びに行きます。

シドニーのワイン好きさんにはとってもおすすめです~!

 

urbanwinerysydney.com.au