ひつじさんぽ

30代夫婦のシドニー暮らし × 留学・英語 × ワイン

シドニータウンホールで開催のクラシックコンサートへ!

 

シドニーシンフォニーオーケストラの演奏会を聴きにタウンホールへ。以前、夫の大学院卒業式でホールの中に入ったことがあり、いつかここでオーケストラかピアノを聴きたいなと思っていた場所でした。真冬の寒さのシドニーで、心温まる素晴らしい思い出ができました。

 

www.sydneysymphony.com

 

ラフマニノフピアノ協奏曲第2番が今回のプログラムの目玉。映画やドラマ、フィギュアスケートなどにも使われたおそらく世界一有名なピアノ協奏曲なので、クラシック初心者の夫にも良いだろうと選んだのですが、なんと一週間前にピアニストの希望で変更となりました。

変更後のプログラムはプロコフィエフのピアノ協奏曲第1番でした。YouTubeで検索してもたくさんは出てこない少々マイナーな選曲。10年ぶりにこの曲を演奏できることを楽しみにしている、というピアニストのコメントもありました。

 

 

ピアニストは1984年生まれのアレクサンダー・ガブリリュク氏です。私が真剣にピアノに取り組んでいた若き頃、私と同い歳の彼は天才ピアニストとして来日し一躍人気者となりました。あれはたしか2004年。若いパワーみなぎるアレクサンダー氏は、数々の超絶技巧作品をプログラムに組み込んでソロコンサートを行いました。リスト、ブラームスショパンなど、もの凄く体力を消耗しそうな難曲をたっぷり弾いたあと、これでもかというほどのアンコール。一緒に行った友人と、「す、すごいね…」と圧倒されながら帰宅した夜を今でも覚えています。

同世代のピアニストが華々しく活躍する姿は眩しく、とても追いつけるレベルではないと思いながらも一生懸命練習したものです。(私の師匠はガブリリュク氏を「ガブ君」と呼んでいた。)

当時は知らなかったのですが、ウクライナ人のガブリリュク氏は14歳の時に師と共にシドニーに移住をしたのだそう。所縁のあるシドニーウクライナ生まれの作曲家のコンチェルトを弾きたかったのかなと想像しました。

 

 

前置きが長くなりました。この夜の演奏も本当に素晴らしかった!って語彙力ゼロの感想なのですが、言葉にするのが難しいのです。アラフォーとなったガブリリュク氏、輝くテクニックとダイナミックさはもちろん健在のまま、特に弱音の美しさが際立つ感動的な演奏でした。ピアノ協奏曲のあとステージに戻って弾き始めたシューマントロイメライは、子守歌のような優しさで思わずうるうる。

直前のプログラム変更は少し驚きましたが、よく考えたらラフマニノフの2番はこれから何度も聴くチャンスはあるはず。貴重なプロコフィエフの1番を聴くことができて良かったです。音楽院の卒業試験でプロコフィエフ自ら演奏したというこの作品は、成熟期の作風を予告しているものとなりえている、とWikipedia。何かクセになる危うさと熱のある作品で、コンサート以降リピートしています。

 

 

雰囲気抜群の素敵なホールでオーケストラとピアノを聴くことができ、また一つやりたいことが叶いました。残りわずかなシドニー生活、オーストラリアでやっておきたいことを一つずつ楽しむ今日この頃です。

 

コンサートの前にはもちろんワインディナー。(いつも賑わっているイタリアンレストランにて)